2015/02/08

動物園で豹が咆える…Fortress Berlin(AtO#8)

動物園で豹が咆える…Fortress Berlin(AtO#8)
第二次世界大戦終了70年を期して、実際のベルリン戦である4月より前にプレイしました。 コマンド誌3号のBerlin'45ではドイツ軍は一方的に除去されるだけでプレイするのも辛かったのですが、Fortress Berlinはどうでしょうか。
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はじめに

1945年4月のベルリン陥落を扱ったゲームです。1ターンは1日、1ヘクスは500メートル。ユニット規模は中隊~師団です。 5人によるプレイで、ソ連軍は2名(ジューコフ、コーネフ)、ドイツ軍は3名(ヒトラー、軍、SS)で分担します。筆者はジューコフを担当します。

進展

序盤

北~東からジューコフの白ロシア方面軍が登場。外郭陣地線に攻撃をかけます。一蹴するかに思いましたが、思ったより固いです。戦闘が2ダイスですが、地形効果が強く、ダイス目から直接差し引くので相当の戦力を集中しないと陣地を突破できません。陣地を突破しても、その先にはさらに堅い高射砲塔があり、進撃速度が上がりません。 マップ南東から独20装甲擲弾兵師団が登場します。ただし脱出させれば14点が得られるため、一目散に盤外へ。

中盤

南西からコーネフのウクライナ方面軍が登場します。ドイツ国防軍主力が北東~東に重点を置いていたため、ドイツ軍の薄い防衛線を難なく突破します。南西から一気に中心部に近づき、国民突撃隊を壊滅させ突破進撃(3へクス)。 北~東のジューコフはドイツ軍の2個師団と交戦。川の中州(5515)陣地をめぐる激戦を繰り広げます。地形効果の高い建造物が川に囲まれ進撃路が限られ、力押ししようにも順調にいきません。

終盤

東部ではドイツの反撃が功を奏しソ連軍2スタックを立て続けに除去、最後の凱歌をあげます。
ようやく9ターンに、ジューコフも国会議事堂への攻撃開始位置につける位置まで到達します。しかし、それが限界でした。 北東でドイツ軍2個師団相当を釘付けにしたことで、一定の使命は果たせたのでしょうか。
難渋しているジューコフをしり目に、コーネフが大活躍。 ティアガルテンでパンテル、ケーニヒスティーゲルと激戦を繰り広げ、ついに8ターンから、総統壕を直接攻撃。ついに、総統壕に突入し(「2d6で4のみ」、で4を出した。36分の3=約8%)総統を捕獲しました。ソ連軍のサドンデス勝利です。

感想

最終的な壊滅ユニット数:ソ連46、ドイツ67。 5人プレイではジューコフとコーネフを分担します。ジューコフの扱うユニットが多く、プレイ序盤はソ連プレイヤーの”楽しさ”に大きな差が出ます。筆者はジューコフを担当しましたが、自分がプレイスピードを遅くしている元凶と感じた(実際、そうだったのですが…)ほど他のプレイヤーに比べてユニットが多いのです。そのため、ジューコフ軍の指揮を分割しました(最終的には3名で分担)。それも泥縄的に分担したので軍団個々の作戦にあまり計画性が無かったのは大きな反省です。ソ連軍はプレイアビリティを考えると2~3名。それも方面軍分割では無く地域でわけるのがよいと思います。 また、マップの広さに比して進撃ルートが多くないため、単純な力押しには頼れません。特にジューコフ軍は綿密な事前計画は必須でしょう(←当たり前)。自戒をこめて。 ZOCが無いのでもっと自由に進めるかな…と思っていましたが、地形効果が直接ダイスから差し引かれることと、河川の移動制限により思ったより進撃に苦労しました。 ベルリン北から侵入した部隊は慎重過ぎて進撃が遅く、東からの部隊は橋梁を抜けられずこちらも時間かかってしまいました。もっと進撃路を事前に検討しなければなりませんね。
シークエンスは単純(移動→間接砲撃→直接砲撃→防御射撃→白兵戦)なのですが、細かいルールとユニットのパラメータが多く、また戦闘解決も2種類の表を参照するので、移動や戦闘解決に多く神経を使います。 しかし、それゆえにディティールを連想させてくれ、ダイスの一振り一振りに熱がこもって楽しいです。ディティールと俯瞰性の両方が感じられ、ある程度の広がりを持った舞台上で役者の個性を際立たせる演出が光るのが、このゲームの魅力なのでしょう。その分ルールは複雑になりますが… 簡単なゲームもそれはそれで楽しいのですが、ルールを運用するのに神経を使うゲームも、また楽しいです。 今回のプレイでも、   ・高射砲塔に籠もる重砲(ヘクス6113)に傷一つ与えらえれず迂回するソ連軍、   ・テンペルホーフ空港(5526付近)に着陸する増援の海軍歩兵…、   ・そしてティアガルテン内のVictory Monument(4516)に陣取るパンテルに殺到し各個になぎ倒されるJS戦車。 これらの情景が連想できるのはこたえられません。
それにしても、ミクロ視点で戦闘解決しているときは情景が目に浮かびますが、立ち上がって俯瞰すると(可視性が低くプレイアビリティはよくないのですが)末期ベルリンのイメージとマップの暗い色合いが妙にマッチし気分をあおります。(立ち上がって見ると、暗さの中で飛行場に登場する海軍歩兵がなんと絵になることか!)。 ユニットがサイケな色使いでなければ、もっとよいのですが。