2017/12/16

一年も孤独にならない将軍...Guerra a Muetre(AtO)

2017/12/16 - 0:00 Posted by 20-on-20 , , , , ,
わかりにくいタイトルをつけてしまいました(^_^ ;)

ガルシア・マルケスの「迷宮の将軍」に触発されプレイしたかった「Guerra a Muetre(AtO#23)」をプレイしました。

面白いゲームなのに、ほとんど日本ではプレイされていないようです。

ラテンアメリカのスペイン植民地の独立がテーマです。
ラテンアメリカの歴史の重要な局面がわかる。
南北アメリカ大陸が舞台の壮大なドラマを味わえる。中南米諸国の成り立ちがわかる。
数少ないゲームです。

1ターン1年で、1810年〜1824年を扱います。ヨーロッパではナポレオンの時代ですね。独立派の立場では、フランスを応援したいのでしょう。
中南米を描いたマップは、テキサスやカリフォルニア(当時スペイン領)から南米大陸の南のパタゴニアくらいまで。山脈、自然環境(居住環境が厳しいと損耗) 、要塞、都市が描かれています。
ユニットは歩兵、騎兵、砲兵、海軍、指揮官の5種がユニット化されています。騎兵の役割が強調されています。野戦のダイス修正もさることながら、戦闘回避とインターセプト判定を有利にできるのがなんといっても大きいです。どんなに強力な軍で攻めても回避されてしまえば戦えないのですから。
戦略級ゲームでありながら、戦術的な香りを利かせていますね。騎兵の偵察の役割の重要性を表現しています。このスケールでの戦術風味の味付けは賛否あると思いますが、私はよい味付けであると思います。



蜂起ー収入と編成ー独立派行動ー王党派行動ー終了(包囲戦解決) が大まかなシークエンスです。行動はスタック単位で行い、ダイスロールして行動ポイントを決定します。リーダーの作戦修正をダイスに加えます。そのため、想定通りの行動が行えるかは直前までわかりません。行動ポイントがあれば移動と戦闘を繰り返して行えるため、一気に敵を殲滅することも可能です。今回のプレイでは、ベルグラノに率いられたラプラタ軍が、最大の8OPにものを言わせ、バンダオリエンタルのスペイン軍とポルトガル軍を1ターンで除去しあっさりと占領してしまいました。ラプラタ軍は最初リーダーがいないために思うように進撃ができませんでした。

また、リーダーには戦術修正があり、野戦の主導権判定(主導権を持つ側は相手の2倍の戦術オプション~騎兵突撃や方陣~をとれる)と、戦闘解決のダイス修正に適用します。登場するリーダーで最高の評価をもつのはやはりシモン・ボリヴァルです。なんと能力は(戦術-作戦)2-3!!!!!!6分の5の確率でOPは最大の8、野戦修正は+2です。このゲームのCRTは1~7であり、6面ダイス1個を使います。オッズが1:2でも(自軍に損失なく)敵軍を半壊させることが期待できる修正値です。

今回のプレイの最大のドラマも彼をめぐっての戦いとなりました。


第1ターン、独立派のラプラタ軍は苦戦します。Saltaでは王党派(親独立派エリアなのに…)が蜂起し、それを占領に向かった軍は戦闘回避され(1/6)、OPが足りず占領できません。苦しいスタートです。
ペルーではゲリラをクスコ、リマに潜入させますが王党派の対ゲリラ戦で除去されます。
メキシコ。ヒダルゴ神父率いる軍がグアダラハラにて壊滅。神父はかろうじて脱出し、ベラクルス近郊のモレロ軍に合流します。ヒダルゴ神父が生存していると、メキシコ(正確にはヌエバエスパーニャ)のスペイン軍はダイス1個の出た目のユニットしか行動できません。独立派には幸運でした。

第2ターンには独立派に艦隊が登場。懸案のSaltaもラプラタ軍が今度こそ占領します。コロンビア、チリ軍も少しずつ戦力を増してきます。スペイン側も徐々に増援が揃いだします。しかし優勢のメキシコ方面では活動ダイスで"1"を出してしまい現地軍がほとんど活動できません。

第3ターン、王党派にはスペイン本国からの増援が到着。そしてコロンビアにシモン・ボリヴァルが登場します。
この1ターンは映画になりそうなターンでした。
ベラクルス陥落
メキシコでは、ヒダルゴ神父とモレロ率いるメキシコ軍がベラクルスを強襲し、遂に陥落させます。メキシコ軍はほぼ民兵のためユニット数は多いのですが戦力が高くありません。しかし、独立派の中で初期から最大の砲兵を有しています。砲兵(攻城戦時戦力2倍)を活かしての勝利でした。






バンダオリエンタル陥落
バンダオリエンタルでは前述の通り、ベルグラノ率いるラプラタ軍がスペイン・ポルトガル軍を壊滅させ占領します。





マラカイボ攻防戦
そしてシモン・ボリヴァル。コロンビアのサンタフェに登場します。3ターンにスペイン軍も十分に増援されていましたが、4ターンにはさらに本国からの増援が到着します。勝てるタイミングが今しか無いと踏んだ独立派は勝負に出ます。ボリヴァル率いるコロンビア軍でマラカイボに進軍し、スペイン軍を攻撃します。戦力的には、ほぼ半分。ボリヴァルの指揮の冴えと騎兵隊の奮戦もありましたが、衆寡敵せず両軍大損害(Bloodbath)を被りました。ダイスはCRTを振り切り、最高の「7+」を出しましたが、オッズが1:3にしかならずBloodbathに。戦術効果ロールの適用が良ければスペイン軍ユニット1つを半減させれば1:2でした。悔やまれます(戦術効果は、特定の兵科のみ1ユニットの戦闘力を倍にしたり半減させたり、CRT上のダイス修正をもたらします。主導権を持つ側は最大2つ、持たない側は最大1つ)。

こうしてマラカイボ攻防戦はスペイン軍の勝利に終わり、ボリヴァルはサンタフェに撤退します。ここで弱体化したコロンビア軍を壊滅すべく、王党派はマラカイボの残存軍に援軍を加えサンタフェに逆侵攻。3度にわたる攻撃でコロンビア軍はほぼ壊滅。何としてもボリヴァルを討ち取りたい王党派は、メキシコの軍を動かします…が、ゲリラに阻まれ移動できず。さらにパナマ駐留軍を南下させます。サンタフェの残存軍は壊滅しカルタヘナ要塞も陥落します。ボリヴァルは討ち取りチェックを生き延びます。落ち延び先にも追撃の手が及び、ボリヴァルは2回目の討ち取りチェックも逃れキトに移ります。王党派は今度はリマの駐留軍を北上させ…しかしリマ近郊に潜んだゲリラにまたも阻まれ捕捉出来ず。最後に残ったクスコの軍を動かします。またも敗れたボリヴァルは、3度目の討ち取りチェックも逃れグアヤキルに落ち延びます。
グアヤキルに逃れたボリヴァル

 
この1年(1ターン)、ボリヴァルは6度戦闘し3度落ち延びる、たいへんな1年でした。







ラプラタ軍、チリ軍は南方を確保していますが、コロンビア軍が壊滅してしまったために王党派が有利でしょう。ボリヴァルはその存在で敵戦力を誘引するに留めるほうが良いのかもしれません。

いずれにしてもとても熱くなるゲームでした。ダイス一振りにこんなに気合いが入ったのは久し振りです。





これを機会に積ん読であった「迷宮の将軍」を読んだので、この勢いで(これも積ん読)「百年の孤独」も読まなくては。