2020/02/10

速いけどそれだけ(失礼)…Red Storm(GMT)

2020/02/10 - 22:28 Posted by 20-on-20 , , , , , ,

■Red Storm(GMT)

岡部ださくさんの「世界の駄っ作機」風味のタイトルですが…
昨年9月下旬に届いた同作を、年が明けて初プレイ。2020年の初ゲームでした。

●RS1 Morning Recon

練習シナリオ。
移動、探知、飛行計画、engage(有視界戦闘、視界外戦闘-以下BVR)、SAMレーダーを網羅。
合わせて飛行機性能表の使い方やセットアップ手順も一部網羅しているので、このシナリオで基本の手順は確認できます。マップ1枚の八分の一しか使わないので学習には手頃です。ただ、Downtownシステムの経験者なら敢えてプレイする必要はないでしょう。

開戦前、国境侵犯したワルシャワ条約機構の偵察機に(レーダー捕捉などで)圧力をかけ、帰還することを強いるシナリオです。

ソビエト偵察機はSu-24。
しかし、SAM2ユニットと英軍F-4も1ユニットいる状況で、勝利条件(4ユニットの偵察)を満たすのは困難。デザイナーズノートにも「Su-24の高度を変えて2回プレイしてみるべき」と書かれている通り、高度とLOSと探知とSAMレーダーを学ぶためのシナリオで、良い学習用シナリオだと思います。競技シナリオとして見ない方がよいと思います。

(左が西、赤マークが偵察目標)

ゲーム展開

超低空進入しますが、国境近くの山地を抜けた途端に迎撃のF-4にロックオン(BVR エンゲージ)され帰還。目標はひとつも偵察できませんでした。
(勝利条件間違ってました… ←後日追記)

●RS2 Operation Boloski

空戦シナリオ。
ゲーム規模:NATO(北大西洋条約機構)8個小隊(CAP4, QRA4)、WP(ワルシャワ条約機構)12個小隊(Fighter Sweep12)。
開戦直後に制空権確保のため戦闘機の大編隊で国境を侵犯したワルシャワ条約軍に対し、NATOも戦闘機を差し向ける…誤射を恐れ両軍ともSAMを発射できない…との設定のシナリオです。
システム習熟のため、まずは空戦までのルールでプレイできる本シナリオを選択しました。

両軍とも戦闘機中心。対空砲が僅かあるだけでSAMはありません。両軍のタスクがCAP(Combat Air Patrol;空中哨戒)・QRA(Quick Reaction Alert;緊急対応警戒待機)・Fighter Sweep(制空)だけなので「飛行計画」を作る必要もなくAAAの配置も殆どありません。このゲームは爆撃/偵察/輸送など一部のタスクの編隊は、事前に飛行経路を計画しておく必要があるのです。そのため、これらのタスクを含むシナリオは事前準備をしておかないとプレイ時間が減ってしまいます。このシナリオは対地攻撃がありませんので空対空戦闘をマスターするには最適なシナリオです。さらに、DowntownやElusive Victoryのプレイ経験のある方も、本シナリオはプレイすべきだと思います。
本ゲームは同システムの以前のゲームと比べてBVR(Beyond Visual Range;視界外からの戦闘。レーダーホーミングミサイルなどの兵器による目視距離の外からの攻撃)戦闘を試みることのできる頻度(機種と距離)と効果が格段に増しており、空戦の進め方(手順では無く戦術)が大きく変わります。また、「Deck高度(超低高度)で荒地(Rough)にいるNATO編隊は追尾フェイズに自動的に非探知」のルールが与えるインパクトも極めて大きいです。

ゲーム展開

NATOはCAPタスク編隊が4個ほど上がっていますが、シナリオルールにより周回点付近を離れられません。QRAタスク編隊は離陸していません。これらの制限は、WP編隊が国境を越えるまで続きます。WPはNATO編隊を10ヘクス内に探知するまで西進しなければなりません。
NATO側が先に移動制約が解除されます。このシナリオのVPは相手機の撃墜から得られます。また、0点ならNATO勝利なので自ら仕掛ける必要もありません。そして、ターン制限があるシナリオなので、NATOはエッセン〜フランクフルト間のRough地形にDeck高度で入り、集結します。こうなると、殆ど探知を継続できません。

NATO(青)がRough地形上に集結・WP(赤)は西進
大まかなシークエンスは、探知→移動(戦闘含)→探知継続判定です。探知していないと航空機は攻撃できません(SAMは自身のレーダーで捕捉していれば探知していなくても攻撃可能)。そのため、Deck高度でRough地形にいるNATO編隊に対しては攻撃機会が著しく減るのです。そのため重要な探知判定の回数は、基本の1回に加えて早期警戒地上レーダー、機上レーダー、目視索敵の範囲に入っていれば判定回数が追加されます。しかし、機上レーダーは基本的に自分より下の機体をレーダー探知できません(地上による乱反射のため)。高機能のレーダーである「ルックダウンレーダー」であればこの制限を無視できるのですが、WPにはこのレーダーを装備する機が殆どなくRough地形を低高度で飛行するNATO機には機上レーダーが使えません。
Roughに入ったNATOに対し、WPは今シナリオで登場する唯一のルックダウンレーダーを持つMiG29の編隊で、NATOの1編隊を何とか発見します。
赤:MiG29がNATO編隊を発見、この後接近してBVR攻撃
青:CF-18AがBVR攻撃、1機を撃墜している
低空のNATO編隊に対して、WPが襲いかかります。まず、MiG29がBVR攻撃。1機を撃墜。さらに1機に重損害を与えます。次に高高度からMiG23が接近し標準空対空戦闘(有視界戦闘、接近戦)を挑みます。が、失敗(接近戦でもF-4は強い!そしてMiG23は弱い)。背後から攻撃しても効果なし(※)。さらにMiG25!も真後ろにまで接近します。速度9!速い!次のターンにミサイルを真後ろから撃てる位置につきました。これに対しNATOはネーデルラント軍のF-16が接近戦を挑みます(BVR戦闘は、友軍が近すぎると実施できません)。MiG-25ごとき(失礼)が近距離戦闘でF-16の相手になる訳が無く、1機が撃墜されます。MiG-25は(モラルチェックに失敗)たまらずアボートします。

青:米軍F-4。BVR攻撃で1機撃墜されたが、次のMiG-23の攻撃を返討ち!
赤:MiG-23。F-4に標準空対空戦闘をかけたがF-4に撃退される
黄:MiG-25にF-16(茶色)が空対空戦闘。1機が撃墜される
マーカー類がのっていて見づらくすみません…
このターン(と前のターン)、カナダ軍のCF-18が東ドイツ軍のMiG-23にAIM-7によるBVRの波状攻撃をかけ、2機を撃墜しました。

※このプレイでは標準空対空戦闘を実施していますが、ソビエトドクトリンルールや、そもそも機動性が高くない(低空だとMiG23は4、F-4は6)ことを考えると実施すべきではありません。BVRを使うべきです。

ここで時間切れのためお開き。
シナリオ特別ルールのVPも加え、合計で-15。勝利に+10点以上必要なWPは惨敗でした。

レーダーや装備品の性能に劣るが機数に勝るWPとしては、より単一の目標に攻撃を集中しBVRの飽和攻撃をかけた方がよかったと思います。今回の展開では、NATO6個vsWP9個になりましたが、さらに3個集中できたので6vs12にすべきでした。
鍵となるのは探知ですが、WPだけが持つIRST(4ヘクス以内の目標に追加の目視索敵)の優位を活かすため早々に4ヘクス以内に接近する戦術もあるかもしれません。

感想

一番印象が強かったのがBVR。レーダーの有効範囲が伸び、BVRの距離も伸びました。APG-65レーダーの索敵範囲は16ヘクス、AIM-7レーダーホーミングミサイルの射程は9ヘクスもあります。そのためチェックの回数が多くなった分、1個小隊あたりのプレイ時間が長くなる気がしました。
また、被探知時の高度修正や特別な判定が増え、ヨーロッパ中部の丘陵地帯と低高度侵攻戦術を表現しているのが前作との一番の違いなのかな…と感じました。
今回のプレイは空対空だったので出てきませんでしたが、この後のシナリオでは前作に比べ質量ともに格段に向上した対空網も前作との違いを感じさせてくれると思います。
もうひとつ、さりげない変更が燃料消費。前作は1ターンに最大1ポイント消費でしたが、今作では1ターンに複数ポイントの燃料を消費します。これがどう影響するかは、今後のシナリオで確かめてみたいです。