いつものプライベートゲーム会にて。
結果的に、18世紀末・19世紀末絡みになりました。
Liberte (ナポレオンとタレイランが見える) |
■Liberte(Valley Games)
本日のメインイベント。
●概要
デザイナーはマーティン・ウォレス。フランス革命(1789年)後の勢力争いを描きます。権力を争うのは王党派・穏健派・急進派の3勢力。プレイヤーは陰で操る立場になります。毎ラウンド行われる選挙(与党の1位2位派閥、野党第1党1位派閥)の、フランス革命勢力に介入する諸外国の軍隊との戦争・重要拠点の支配(3~4ラウンド)で得られるVPの多いプレイヤーが勝利します。ただ、サドンデス条件が2つあるので要注意。
急進派が、全29議席(1地域1議席、パリのみ3)中17を獲得すると、急進派地滑り的勝利となり、ゲーム終了。ボード、手札、公開札のうち急進派を最大数持つプレイヤーが勝利します。
また、14ある王党派地盤エリアのうち、王党派が7以上を支配する(諸外国との戦闘の敗北数も加算)と、王党派が勝利してゲームが終了。もちろん王党派勢力を最大数持つプレイヤーが勝利します。
プレイの中心は、人物(と、ジャコバン派などのクラブ)カードです。勢力党派・地域・影響力が基本で、これに保持人数ボーナス・将軍・軍隊動員がついている人もいます。例えば、ロベスピエールは急進派・パリがある北部地域・3影響力・動員です。ナポレオンは穏健派・南東部・3影響力・人数ボーナス・将軍・動員です。ラボアジェ(そう、あの科学者のラボアジェです!)は王党派・北東部・1影響力です。これらの多様な登場人物もこのゲームの魅力です。特に第2版では肖像画入り。また、有志の方が人物紹介シールを作って下さっているので、知っている人も知らない人もたくさん出てきます。肖像画とこの紹介文を見るだけでも楽しいです。
人物カードは、プレイするとボード上に影響力を置ける(これで選挙の勝敗を決めます)ほかに、自分の前に保持もできます。保持カードは軍隊指揮をとる資格(つまり、戦争で勝利した時にVPを得る資格)である他に、タイブレーク時の勝敗決定にも使います。このゲームでは、選挙区選挙・議席同数時の第一党決定・VP分配などタイブレークの機会が多く、その際には保持カードから出した影響力の多寡で勝敗が決まります。
●プレイの経過
さて、この日のプレイでは…
本来最初のラウンドは穏健派・王党派が強いはずなのですが、王党派第1党・急進派が1票差で第2党。波乱含みの展開となります。
第2ラウンドから対外戦争(正確には2ラウンドは「ヴァンデの反乱」なので国内ですが)が始まり、こちらは順当に勝利します。しかし、ダントン(急進派3影響)の力でパリを獲得した勢いで急進派が14議席を獲得し第1党に。急進派が政権を取るとイベントカード「Terror」(恐怖政治、と訳すのでしょうか。でも、テロリズムの語源でもありますからね)が使えるようになります。第2ラウンドからギロチン、ついで3ラウンドにはTerrorが目立つようになりました。対外戦争の将軍までもギロチンに送られる始末(指揮権を持つプレイヤーを減らせば、戦争勝利VPの競争相手が減る)。私は手札にも急進派カードを残し、地滑り的勝利を狙います。しかし、第3ラウンド終盤に全く目立っていなかった王党派が6地域で議席確保確定しており、警告を発しましたが時既に遅し。ガラ空きであった地域をシャレット(知らない)で確保され、7地域。王党派の勝利となりました。当事者は、全く気づいていなかったようなので警告したのが支援してしまった格好になりました。
終了時の盤面 |
●感想とまとめ、戯言
面白いです。
選挙では第1党も第2党も得点が入りますが、エリアによる重要度の違い(例:3議席のパリ、第3ラウンド以降VPを稼げるエリア)もあり、これに自分のカードで影響を及ぼせる地域が変わり、それに他プレイヤーの動向と数ラウンド先まで見ての駆け引きがたまりません。後半になるに従って強烈な要素が増えてきますが、ゲームとして収束するのが流石です。題材が題材だけに、ギロチンや追放などで直接攻撃する場面もあるのが苦手な方はいると思いますが。
タイブレークの処理がケースによって異なることくらいがルールのややこしいところで、VP獲得までの見通しも良く、またVP以外の勝利条件も用意されているので逆転の可能性があります。60~90分程度で完結し、プレイヤー同士のインタラクションも多いので作業感も無く、アナログボードゲームを満喫した感じになります。「すぐにもう一度やりたい」との声があがる良いゲームです。
ところで、フランス革命後の政治闘争や陰謀なのに、ジョゼフ・フーシェが入っていないのは残念です。
「サン・クルーの風見」なる綽名があるので、特定の党派に属さず、「他の人物・クラブと同時に使用。影響力を+1できる。また、使用と同時に、『付けられたカード』と異なる党派の人物カードを1枚捨て札にできる」とか(冗談)。
■Dr. Jekyll & Mr. Hyde (Bambus Spieleverlag)
「ジキル博士とハイド氏」は1886年出版。Bambus Spieleverlag社は同じくスティーブンソンの「びんの小鬼」(原作1891年)をテーマにしたゲームも製作しています(日本語版にもなりましたね)。どちらの作品も、うまく原作のエッセンスを感じさせる独特なシステムで、ゲーム性と雰囲気を併せ持った好感の持てるデザインだと、私は思います。なんと、小説までパッケージに含まれています!
さて、本作ですが、ジキル博士陣営2名対ハイド氏陣営2名でプレイする事実上4人専用トリックテイクです。スートは1つしかありませんが、出せるカードが決まっています。自分の番になったときは、自分の手からプレイしても、誰か(味方でも敵でも)を指定してプレイしてもよいのです。カードは28枚。ジキル陣営14枚とハイド陣営14枚が用意されていますが、裏から見ても区別がつくようになっています。開始時、28枚をシャッフルして7枚ずつ配ります。プレイヤーにはジキルとハイドそれぞれのカードが混ざって配られることになるので、プレイヤーを指定することができるのです。なお、もちろん自分の手札の情報は(味方にも)明かしてはなりません。
14枚の内訳は、トランスフォーメーション1枚・人物A~E各1枚・場所F3~F7それぞれ1枚・情景x1~x3それぞれ1枚。カードの強さもこの順番です。同じ強さのカードが同一トリックで出されたら、先に出したほうが勝ちます。トランスフォーメーションは、トリックには勝ちますが、そのトリックで取ったカードは、”次のトリックの勝者”に渡されます。
7トリック(28枚÷4名=7枚ずつ)終了したら、A~Eは各1点、Fは数値の点を合計し、xの値を合計した値で乗じます。これがそのペアの点数となります。どちらかのペアが1,000点に達したら勝利です。100点超え、時には200点超えも出ますが、500点くらいに減らしてもよいかもしれません。
どこにどのカードがあるのか、予想ができそうでできないくらい(カウンティングできなくもないが、あまり緻密にやる意味もない。A~Cあたりが出たかどうかは覚えておいてもよいが)で良い案配のカード量とバリエーション。お互いに分かっていそう…な中で、最善手を悩むのが楽しいです。AやBの強いカード、F7やx3の高得点カードをどこで使うか。それが自分のカードであっても悩ましいのに、相手陣営のそれらのカードをどう処理するか、がとても悩ましい…
小ぶりなわりに、推理と駆け引きが楽しめるお勧めのゲームです。一度だけでは配布カードによる優位不利があるので、ぜひ数百点ゴールでプレイしてください。
■パレード
ルイス・キャロルが「不思議な国のアリス」を発表したのは1865年。世紀末でもなかった…
アリスのキャラクターがカード化(6色×11枚(0~10)の66枚)されており、カードからなるパレードの最後尾に1枚置き、パレード行列枚数以下の数値のカードしか置けなかったら、パレード列の中の数枚をひきとらねばなりません。引き取ったカードは失点になります。色の枚数をプレイヤー同士で比較し、枚数が最多のプレイヤーは枚数が失点、枚数が2番目以降のプレイヤーは、数値合計が失点になります。
プレイ感は、自分が耐えて耐えて他がバーストするのを待つ展開です。とはいえ、最後に2枚を手札から引き取り札に追加するルールと合わせ、他プレイヤーの状況を把握しながら陥れることもできないわけではありません。
ルールも多くなく、簡単にプレイでき、イラストも良く、6人まででき、時間調整にも使える好ゲームです。