2024/03/24

四面楚歌でも虞美人だけは…項羽と劉邦(GJ)

2024/03/24 - 0:00 Posted by 20-on-20 , , , ,

A2以下のマップのゲーム企画。この日は会場の机が少なく、机1本の幅におさまるマップサイズのゲームをプレイすることにしました。「項羽と劉邦(GJ)」「カフカス攻防戦(BANAIマガジン)」のプレイが実現しました。


■項羽と劉邦(GJ)

楚漢入れ換えて2戦しました。戦闘指揮官としての項羽には良いところがない日でした…

●1戦目とルール説明

1戦目は漢を担当。最初の人材登用は、漢が選択できます。蕭何(手札~天命札と称する)を選びました。手札のドローが1枚増えるのです。
毎ターン、カップからランダムに楚軍プレイヤーが1人ひきます。カップは両陣営の人材が混じっています。第1ターンには漢軍プレイヤーが選べるのです。おそらく、前述の蕭何か張良(策略値3、ゲーム中最高)になるでしょう。
人材登用に続いて、天命札のドロー、増援(中立勢力とプレイヤー勢力で1ターンおき)、中立勢力の動向、と進みます。
ここでなんと、南部の黥布(セットアップ時は楚軍寄り)が漢軍寄りに!(確率36分の1)あと一歩で漢につきます。

続いて作戦フェイズです。
まず、策略値が高い側が先行プレイヤーを決めます。楚軍は范増2、漢軍は1です(張良を選んでいれば3でした)。楚軍は後攻を選びます。
先行プレイヤーから交互にアクションを実施します。移動/戦闘、補充、外交、イベント。アクションを行うには手札を1枚消費します。イベントを除き、書かれている内容は無視します。イベントとして使う場合、カードに記されている策略値を持つ人材が自陣営にいることが必要です。
 
第1ターン
順当に領地(勝利条件になる「補給ポイント」のある領地;補給エリア)を両軍とも増やします。しかし、漢と同盟した黥布が楚の補給ポイントを占領します。
 
第2ターン、第3ターン
人材登用で張良、韓信が引き当てられ、「漢軍オールスター」が早くも揃い踏み。韓信は策略2、軍事値3を持つ漢軍の中核です。このゲームの戦闘は、「エリア内のユニットの数だけ6面ダイスを振り指揮官の軍事値以下が出れば1ヒットを与える」方法で解決します。軍事値の最高は項羽の4、ついで韓信の3。それ以外は両軍に2の武将がいるだけです。つまり、楚軍は戦闘であればまず負けないはずなのです。
項羽は北方の中立勢力を攻撃、補給エリアを獲得します…が、反撃でチクチクと軍が削られます(中立勢力の指揮官の軍事値は1、6面ダイスで「1」の目のみのはずですが…連続で受けていました)。漢軍は韓信指揮のもと、洛陽を占領。この時点で補給エリア数は漢軍4(補給ポイント8)、楚軍4(補給ポイント5)と既に苦しい楚軍…毎ターンのカードドロー枚数は補給ポイントに等しいため、この時点で楚は手番が少ないのです(漢には蕭何がいるため、4手番少ない)。

それでも4ターン、楚軍は人材登用で虞美人をひきあてます。虞美人と一緒にいると、そのターンに限り何度でも行動できます(通常、1ターンに1回のみ行動可)。首都の軍も統合した項羽は、洛陽の漢軍(韓信指揮!)を攻撃!一気に挽回を図ります。
漢軍10ユニット(3以下ヒット)、楚軍8ユニット(4以下ヒット)の決戦が起きます……しかし、楚軍にダイス目は微笑まず…楚軍が4ヒット...を与えたのに対し、漢軍は8ヒット!楚軍は壊滅。項羽は首都に落ち延びます。
さらに、劉邦の長い手が項羽を襲います(ひどい話だ)。外交で同盟にした彭越を使い、楚の首都に突入。


そして5ターン、もはや補給エリア3(補給ポイント3)の楚に対し、漢は同盟軍を使い(彭越は項羽に敗れて討ち死にしたものの)、張耳の軍で臨淄を、黥布の軍で会稽を占領し、勝利条件を達成しました。


第1ターンの外交、人材登用のひき、決戦でのダイス目、増援判定(それぞれ2回判定しましたが、漢はどちらも3ユニット、楚は1~2ユニットでした)に至るまで、楚は完全に運に見放されていました。

●2戦目

楚を担当。漢の人材登用は、張良を選択。これにより、策略値3になり(楚は2)、順番を決める権利は漢になります。
 
第1ターンは順当。楚漢それぞれ補給エリアを獲得。黥布は楚につき、武漢(漢の本拠地の隣)に迫りますが、早速中立化。静かな立ち上がりです。

2~3ターン、漢はイベントで蕭何を獲得。漢のカードドローが増えます。黥布が今度は漢につき、楚の領土である寿春(補給ポイント)を占領。カードドロー数が減ります。苦しい。
項羽は薊を占領の後、
イベント「騅」を使って首都に戻る(青点線)

 
4ターン、張耳も漢につきます。項羽を戻し、楚は寿春を奪回はできました。この時点で、楚は補給エリア5(補給ポイント6)、漢は洛陽を占領。補給エリア4(補給ポイント7+蕭何1)です。このゲームの勝利条件は①首領の討ち取り、②7補給エリアの獲得③最終ターン終了時、相手より多く補給エリアを保持、です。補給エリアは全部で10あるので、6エリアが勝利ラインです。そして、両軍とも兵力を増やしていきます。 
 
5ターン、別働隊で道を開けた楚は、洛陽に項羽率いる主力が突入します。守る漢軍の指揮官は樊噲(軍事2)。兵力は漢軍が多い(13戦力!ものの、軍事値が4の楚にも勝機があります(10戦力)。しかも、継続戦闘(通常では、1手番では1ラウンドしか戦闘できません。しかし、カードによっては複数ラウンドにわたる戦闘ができるものもあります)ができるカードを使っています。ここで漢軍主力を潰し、首都にいる劉邦を攻撃する算段でした…しかし、漢軍の受けた損害7に対し、楚は10!項羽は首都に落ち延びます。
彭越も漢につきました…また、イベントで次のターンに登場する人材は韓信と決まりました…


6ターン、兵力がなく何もできない楚に対し、漢とその同盟軍は攻勢に出ます。彭越が平原を占領。道が開いたところで、洛陽にいた韓信率いる漢の主力が臨淄を占領。補給エリアを漢5、楚4とします。
 
そして最終7ターン。最後の1枚の人材は虞美人。1ターンに限り、一緒にいる部隊は行動済みにならない能力を持ちます。もちろん項羽と一緒にします。ドローした天命札に強力なものがなかった楚は、臨淄の奪回と維持に努め補給エリア数で勝つ方針に決めました。まず、項羽率いる戦力8で、臨淄を攻めます(①)。臨淄を守るのは韓信。数度にわたる戦闘の結果、臨淄を奪回。韓信は戦死します(一緒にいた張良は脱出)。しかし、項羽の戦力も4に減少。さらに、漢の首都に迫っていた別働隊が水攻めにより壊滅。もはや楚に5戦力以上のスタックは無くなりました。
そして、漢は彭越を使い、その首都を攻撃(②)。陳平でしか守れていなかったので、あっけなく陥落します(補給エリア 漢5楚4)。項羽は最後の3戦力を臨淄→首都に送ります(③)。虞美人がいるのでこのターンは何度でも行動できるのです。項羽は見事に彭越を討ち取り、首都を奪回!補給エリアを5に戻しました)。漢はこの後、補給エリアを増やす手段が無くなったところで、楚の勝利となりました。
途中冴えない項羽でしたが、最後は虞美人と項羽の2ユニットだけで首都を守り、勝利しました。

 

●感想

ゲームとしての面白さ、短いプレイ時間と良いゲームだと思います。
 
カード、人材、独立勢力の動向による、振れ幅の大きいゲームですが、それほど気になりません。
それらが作り出す物語性と、なにより短時間で終わる(ため繰り返しプレイすれば収斂するだろう)ためです。
おそらく、当日インストでもいけるでしょう。
 
その際には、個別ルールであってもいちばんインパクトの大きい「天下三分の計」と「虞美人」だけは、事前におさえておいたほうが良いでしょう(あまりにもインパクトが大きいので、初めてとはいえ「それは言っておいてよ~」と思いがちで、ゲームの心象が悪くなってしまいますから)。
 
入手難なのが残念です。ゲームジャーナル誌には、再版してほしいゲームがいくつもありますね~本ゲームや「信長包囲戦」などは最右翼だと思うのですが。