2023/07/24

システムは理解、のその次は…Red Storm Dark Blue Defection、Undaunted:Battle of Britain

空戦ゲームの1日、メインはRed Stormでした。ようやくこのゲームのソロシステムの回し方スムーズにできるようになってきました。ソロ回しが慣れても…ですが。 

終了時


■Red Storm Dark Blue Defection (シナリオ:NSC04)

Red Stormは、1987年にWP(ワルシャワ条約機構)がNATOに侵攻する仮想設定で、航空作戦を描いたシミュレーションゲームです。
「Dark Blue Defection」を複数プレイヤーで協力ゲーム的にプレイする企画の続きです。
ファン作成のソロシナリオ集「Dark Blue Defection」は、10本からなる連作シナリオとなっていて、少しずつ新たなルールを取り入れるようになっている他、背景ストーリーも用意されています。シナリオの結果が次のシナリオに影響する作りではないので、どのシナリオからでもプレイできます。
 
今回はシナリオ4「Iron Hand」をプレイしました。WPに占領された飛行場を、使用されないようにNATOが爆撃して破壊するシナリオです。
NATOはF-15A(CAP)、F-16C(SEAD)2個、F-111(爆撃)、EF-111(ジャミング)の5個編隊です。
青:NATO、赤:WPの飛行経路(予定)

EF-111がジャミングしている間にF-16がARMを撃ってレーダーを停止させ、続いてF-111が爆撃を成功させました。
序盤
 
SAMをARM(対放射源ミサイル)で攻撃

やはりCAPのF-15が大活躍。見事にワルシャワ条約機構の3編隊を無力化しました。ルール上、F-15は2回のBVR(視界外戦闘を意味する)攻撃を行え、しかも試行判定に自動的に成功します。
まず、距離1ヘクスでAIM-9M(赤外線誘導、短射程)を使いました。弾薬欠乏が生じないよう、最初の攻撃では短距離用の装備を使っているのです(武装は使用毎に弾薬欠乏チェックが必要)。目論見どおり、目標のMiG-23は士気チェックに失敗(回避のために散開したが、再集結できなかった、とも考えられます)し帰投に追い込みます。
MiG-23を攻撃したターン終了時

次のターンの狙い
(赤囲みはMiG-23。混乱マーカーが乗っている)
 
 
次のターンには、遠方の敵にAIM-7M(レーダー誘導、長射程)を使います。F-15は同一ターンに2つの目標に対してBVR攻撃が行える強みを活かし、このターン中に2つの敵を無力化します。2回とも成功させ、MiG-29、MiG-21を帰投させています。
赤囲み3個所が撃退したWP編隊
目標(紫のおはじき)にF-111が接近


F-111の爆撃成功
(よりによって「20」!)

ソロプレイ用シナリオなので、対空火器の位置はおおよそ判明しているため、正確な(危険を最小限にした)経路をとって接近、攻撃できています。したがって、このプレイではCAPのF-15の活躍こそが肝だったと言えるでしょう。
有視界戦闘(ルールでは、標準空対空戦闘)の場合、戦闘後に、その後の戦力として喪失されるリスクがあります。両者モラルチェックが要求されるため、どんなに高性能・高練度であっても混乱、悪くすると戦場離脱の可能性がゼロではありません。自分に損害が出ないとしても、弾薬切れの可能性、少なくとも空戦参加マーカー(ルールでは機動マーカー、次の移動機会に移動力半分使用)、1ヘクスのスカッター(空戦後の偏移)があり、次のターンの計画にマイナスの影響が出ます。そのため、まずはBVR(視界外)攻撃を選択。それも、弾薬切れに備えて、隣接ヘクスでは短射程ミサイルを使っているのです。戦果だけを求めるならば、長射程ミサイルや有視界戦闘のほうが威力が高いですが、このシナリオにおけるF-15の任務は護衛です。それも、護衛は1ユニットで敵の迎撃戦闘機3ユニットを無力化するのです。そのための戦闘解決方法、武装の選択をしていました。

このNSC04で飛行計画(経路)とジャミングルールを扱ったので、基本となるルールの大半は確認できたといえるでしょう。
ただ、Red Stormのソロプレイbotルールは、探知/識別状態と状態によるユニットの置き換えについては、通常ルールと異なる扱いをしています。ですから、この点だけは通常ルールの事前練習はできません。
また、botの処理手順はチャートだけに説明が記載されています。チャートには”部分”を使用するタイミングの記載が判別しにくく、DFD3回目にして、ようやくチャートの見方、動かし方が体得できました。

そろそろ復習も一区切りし、通常の対戦シナリオに戻ろうと思います。


■Undaunted:Battle of Britain

「Normandy」で有名な、Undauntedシステム。
「デッキ構築」システムを用いた戦術級ウォーゲーム(風ゲーム?)。
ダンケルク撤退あたりから、バトルオブブリテンデーまでの10本のシナリオがあります。
自分のデッキに必要なカードを組み入れ、また無効果カードを取り除くのがシステムの根幹であるように思いますが、それが空戦ではどう表現されているでしょうか…
カードとユニット

まず、本シリーズの特徴である、デッキビルド要素です。無効果カードの組み入れは、編隊行動が必要なカードを用いたときに、所属機が離れすぎていると追加されます。そして、取り除くカードは1枚の全体指揮カードしかありません。
一方、デッキへのカードの追加は、全体または編隊ごとの指揮カードを使います。

おおよそのプレイの流れは以下の通りです。
デッキから4枚引いて手札に→先行プレイヤー4枚使いアクション→後攻プレイヤー

…しかし、どうも個人的にはピンときません。このシステムで空戦…果たして機能するのでしょうか…
「ダンケルク」シナリオプレイ中
 
ちょっと感じたことをつらつら思いつくまま挙げてみます。

1ユニット1機。
スケールはどうなのでしょうか?

そして、もっとも気になるのが
1ターンの時間は不明。まぁ、それは抽象化ということなのかも。
デッキから手札にひかれなかった機は、そのターン移動しないのです。
飛行機ですから、停止しているということはありえません。
これはその空域を旋回待機しているのでしょうか?だとしたらゲームスケールは?

射撃は、前方真正面のヘクス列にしかできません(Air Forceやブルーマックスはそうではないですよね)。システム上、1枚のカードでは旋回と射撃は同時にできませんので、射撃機会を得るのか難しいです。なので……デファイアントは旋回砲塔があるので、真正面以外のどの方向にも撃てます。
デファイアント激つよです。おそらく、デファイアントがデザインされたバトルオブブリテンのゲームの中で最強です。
爆撃は同一ヘクス。でも1ユニットのJu87は、何度も爆撃できます…

機動性能は、全機種同じです。概ね、1ヘクス直進ごとに60度旋回できます。
速度と旋回回数は機種ごとに違いますが…ちなみに、Bf109とスピットファイアの性能は同じです(イギリスの出版社ですから!)。

高度の概念はありません。
他の機体を通した射撃は1ペナルティ(1ヘクス遠いのと同じ)。

無効果カードがデッキに入るのは、同一編隊の距離が離れたときに特定の行動をとるとき、つまり、自軍のコミュニケーション不備によって無効果カードが入るという表現になっているのだと思われます。
ところで、ルールでは「編隊」は2機なのですが…イギリスはこの時期3機編隊のはずですが(これは細かすぎる指摘か)。

つまり、何か抽象化の度合いがしっくりこないのですね。
空戦らしさを描ききれずに、"とりあえずUndauntedシステムに載せてみました"、感が否めないです…

また、シナリオの多くが、敵を撃墜することが勝利条件であることが多く、平板な印象があります。キャンペーンもありますが、シナリオの勝敗を単純に競うだけなので魅力が弱いです。せっかく連作なのですから、前の結果で次のシナリオや戦力がかわるストーリーがあってもよかったかもしれません。

ピンとこないことの改善のために、
1ターンの中で手札に現れなくても1ヘクス移動させてしまうとか・垂直機動を入れるとか(例えば、Moveアクションの全ての移動力と他アクション併用不可で、180度反転)・ちょっとディティールに凝ってドイツ軍の無効果カードの1枚を「燃料欠乏」にしてデッキに加える際はランダムに入れるとか・イギリス軍の編隊を3機とするとか・イギリス軍は手札を決める際に6枚ひいて4枚選ぶ(地上管制)とか……ギミックを無責任に書き散らかしましたが、空戦としての納得感を高められればよいのですが。せっかくの抽象化を損なわずに。

いろいろと書いてきましたが、空戦のコマンドコントロールを、空戦としては今までに無い処理で表現しようとした意欲作だと思います。なんとかできないものかと思います……