2024/02/04

オペレーション・グレネード(SPI/HJ/CMJ)

「ビクトリー・イン・ザ・ウェスト」シリーズの一作。コマンドマガジン133号の付録にもなりました。今回はホビージャパン版を、コマンドマガジン版ルールでプレイしました。
連隊規模のWW2作戦級ゲームを対戦プレイするのはいつ以来でしょうか………

■オペレーショングレネード(SPI/HJ/CMJ)

本作は、1945年2月~3月にかけて、アメリカ軍のラインラントでの攻勢を扱います。西にローエル川、東はライン川、デュッセルドルフ、ケルンが位置するマップです。アメリカ軍は都市占領とライン渡河によりVPを得ます。マップがあまり大きくなく、渡河から陣地戦を描いているので、あまり機動の余地が無いゲームと思っていました…
 
ドイツ軍のオプション(ダム放水)と連合軍のオプションにより開始ターンと川沿いの地形効果が変動しますが、コマンドマガジン版では、ここを固定した「競技シナリオ」が用意されています。今回もこのシナリオでプレイしました。
 
「パットン第3軍(SPI/HJ/CMJ)」と「バトル・フォー・ジ・アルデンヌ(SPI)」が最初にプレイしたWW2作戦級のゲーム達なので、マップとユニットはSPI風の意匠に親しみがあります(個人の嗜好です)。また、システム的も諸兵連合、同一師団、砲兵支援、航空支援などでカラムシフトするのに親しみがあります(同)。

移動-戦闘のシンブルなシークエンスです。移動終了後、戦闘開始時に敵と隣接している部隊は全て攻撃義務がある(マストアタック)システムです。戦闘結果によっては「突破」と呼ばれる移動できるへクス数が多い戦闘後前進がありますが、ZOC進入で停止しなければならないので、二線で防御していれば大きな穴は開きません。

「ビクトリー・イン・ザ・ウエスト」システムで特徴的なのは「戦力チット」です。各ユニットの戦力は、戦闘に投入するまでわかりません。ユニットには兵員充足度と練度が記載されており、初めて戦闘に参加する際にチットをひいて決定します。つまり、参加するまで実際の戦闘力は(おおよその推測はできても)両軍ともに不明なのです。これによって、オッズを1段あげるために戦闘力1を切り盛りするのではなく、必然的に編成単位での運用になるのです(同一師団効果があるので、同じ師団の構成連隊をバラし離して使うことは起きにくい)。一方で、スタックが高くなる傾向にあるので、移動や下のユニットを確認するときに崩れやすいのが難点でしょうか。

●展開

米軍を担当しました。
第1ターンの渡河攻撃の個所に悩みましたが、5箇所を攻撃し3~4箇所で渡河できれば、と考えていました。その後は橋頭堡を拡大しながら陣地戦を行いローエル川沿い陣地が東に折れる付近(Erkelenz陣地付近)から、VP都市が多く位置する方へ進むことを考えていましたが…失敗でした(後述)。


1ターン(2/20)
ローエル川を5カ所で渡河攻撃。4個所で成功、1個所で失敗(ピンゾロを出しA1(2))。この結果、1個師団が突出した形になり独軍ターンで非補給下に。この1箇所は余計でした。ここを攻撃しなくても隣のマストアタックに影響なかったので、無理に攻める必要はありませんでした...

2ターン(2/21)
橋頭堡で踏みとどまるも3ステップロス、3個師団が同一師団効果(同一師団効果は、師団所属の全連隊が一定の戦力を保持していることが条件)を失います。非補給化になった師団には補給を通せました。

3~4ターン(2/22~23)
第7軍団戦区(最南部)で戦線を突破します。4ターンに米軍の機械化部隊の移動が可能になり、機動力を活かしたいところです。
また、Erkelenz陣地に隣接しますが…

5~6ターン(2/24~25)
ようやく、Erkelenz陣地陥落が陥落します。後知恵ですが、リソース(時間と部隊)をつぎ込み過ぎました。攻勢軸を変えるべきでした。


7ターン以降(2/26~)
7ターンにケルンを占領しますが、ライン河の橋梁は破壊されVPは得られませんでした。こののち、マップ中央部のVP都市までは占領売るものの、独軍に綺麗に遅滞行動をとり、残りターン数で米軍の勝利は難しいと判断し終了としました。
9ターン終了時

●感想

Erkelenz陣地、およびその付近、特に渡河してからもローエル川近くに拘泥してしまいました。いったん確保した地歩を手放したくなく、マストアタックのために兵力をつぎ込んでしまい、結果として手近な敵に多くのリソースを割くことになってしまいました。補給切れ解除された歩兵師団、および増援の歩兵師団の3個師団がこれにあたります。この陣地付近から攻めれば2VP都市方向と散在する1VP都市方向(ほんとうに散在している)の両方を狙えると考えたのですが、突破できても地形が厳しく効果は見込めなかった、と思っています。
この地域は(損耗した師団でもよいので)戦線を維持できるだけの兵力を置き、新規3個師団も含め衝力を残している師団は、より東方にシフトし、ライン川手前の平地部分に攻めなければなりませんね。東への延翼は4ターンから移動できる機甲師団に任せたのですが、数が少なくパワー不足。5ターンに攻撃したが目立った戦果がありませんでした。さらに、機甲師団が移動力を活かして一気にライン河を目指しても、都市に近づくと国民突撃隊がランダムに登場する可能性があるので、思ったよりも突破スピードが出ません。前述の通り、5ターンあたりから、歩兵師団の主攻軸も東にシフトし、東で飽和攻撃をかけるべきした(ちょうどよく、観測効果を得られる丘もある)。
 
ただ、米軍にとって重要である砲兵が戦線の拡大についていけなくなるので、位置取りを工夫しながら後を追わせることに注意が必要です。
また、想像していたより戦車大隊が余るので、歩兵1個師団=2へクス(1~2連隊/へクス+戦車大隊)にして、戦車大隊でソークオフすることを考えてもよかったです。
 
2ダイスを使う独特な戦闘結果表なので振れ幅がとても大きいです。両軍とも、肝心な箇所での攻撃で失敗することがありました。この点では、攻撃回数が少なくなる独軍の攻撃にマイナスにはたらくのでしょう。
 
そんなわけで、前世紀以来のビクトリー・イン・ザ・ウェストシリーズはいいところがありませんでした。