2014/08/14

英国海軍士官は最後まで…When Lions Saled (S&T268)

2014/08/14 - 20:00 Posted by Wil Wilandor , , , , , ,

 When Lions Saled ( S&T 268 )

"When Lions Sailed"はStrategy&Tactics誌268号付録です。

歴史もので複数勢力の思惑が入り乱れるゲームは多くはありません。まして、日本史や中国史でないものは本当に数が少ないです。ボドゲにはあっても競技性に重きを置くため単にモチーフを借りてきただけのものも少なくありません(クニツィアとか。嫌いではないですが)。
そのため、「歴史ゲーム/東洋史で無い/諸勢力入り乱れ/マルチプレイ/できれば18世紀以前」は少ないです。貴重です。
…ちょっと力が入ってしまいましたが、私の大好きなテーマだったのでとても楽しみに出かけました。新装なった、秋葉原イエサブで8/2に対戦です。
業務が忙しく前日までソロプレイができませんでしたが、早起きしてセットアップ&数手順ソロプレイの予習をしていきました。気合は十分だったのですが…


"When Lions Sailed"は17世紀ヨーロッパ列強の世界を舞台にした勢力争いを扱ったゲームです。
ルネサンスを経て大航海時代に続き、この後帝国主義へと続く時代です。
大航海時代を牽引したポルトガルはスペインに併合され、そのスペインも凋落しています。オランダは商業を背景に力をつけ、主にアジアに植民地を有しています。イギリス・フランスが勢力を拡大する直前の時代です。

このゲームはイギリス・オランダ・スペイン・フランスの4人までプレイできます。
資金の多さが勝利条件ですが、各国それぞれに固有の勝利条件(と特殊能力)があります。
資金は支配している地域からも得られますが、世界に点在するトレジャーフリート(以下TF)からの船団を欧州の本国に回航して得られる資金がかなりの割合を占めます。開始時は、スペインとオランダが2、フランスは1、イギリスはゼロです。
海外拠点の数もスペインとオランダが最大です。本国経済はオランダが群を抜き、次いでイギリスです。動員力のトップはイギリスで、スペインとフランスの動員力は一段落ちます。イギリスは初期TFこそゼロですが、最大の動員力とそこそこの資金力、そしてキャンペーンマーカー(イベントカードのようなもの)を毎ターン無償で獲得できる能力を有し、イギリスの動きがゲームを左右します。シミュレーションゲームの流れを汲むゲームですから、資金力や軍事力には差があるのは致し方ありません。

プレイヤーが操るのは艦船がメインになります。しかし、この時代のこと。艦船の移動力は6面ダイス2個+指揮官の能力で決定します。ブラジル北東部からスペインまでが11マス。1回で到達するには難しい距離です。また、ダイス2つがゾロ目(1/6の確率)だと海難事故が発生します。海難事故はほとんど良い結果がありません。凪、反乱、海賊、壊血病、嵐…

長くなりましたが、まぁ私の思い入れと思ってご容赦ください。
では、レポートです。



陣営はランダムに決定。私はオランダになりました。嫌な予感(※)…
オランダは最強の指揮官と2つのTF港、相当の軍事力とを持っています。しかし、大西洋には拠点がほとんどなくアジアからの遠路の回航に不安を残します。


セットアップ(ピンク:イギリス/黄:オランダ/緑:スペイン/青:フランス)


■第1ターン

マニラを出港したスペインのTFは太平洋横断を試みます。これは奇跡的な成功をおさめました。太平洋横断には5/6の確率で嫌なことが起こる「海難事故」を2回判定しなければなりません。1/36の確率で2回とも良い結果(キャンペーンマーカーを2枚得る×2回)を出し、無事メキシコ西岸のアカプルコへ輸送します。

イギリスは南米オランダ植民地のレシフェを攻撃、占領します。TFも無事に回航。アフリカのゴールドコーストも支配し、TFもロンドンまで運びます。しかし、レシフェを占領した艦隊で反乱が起き、有能な指揮官が殺されてしまいます。

フランスはケベックを拠点にしカナダ北部のTF港(プリンスルパートランド)を勢力におさめ、TFも回航します。開始時から勢力下であったカリブ海のアンティル諸島のTFもフランスに到着します。

スペインがメキシコ東岸ベラクルスからTFを出発させますが、大西洋上でオランダ艦隊がインターセプト。初の艦隊戦が発生します。オランダは最強艦隊でスペイン艦隊を一蹴しますが壊滅させることができず、僅かに残った護衛艦とTFを日没と共に見失ってしまいます(個人的には、最強艦隊を稼働させられたので満足でしたが)。
プレイ後に再現。最強トロンプ提督と海戦強化3点セット!

オランダはまた、インドネシアのジャワからのTFを長躯アムステルダムへ向かわせます。しかし、アジアからヨーロッパは遠い!アフリカ東岸、喜望峰(ケープ)を経由しますが、アフリカ西岸のイギリス艦隊が脅威です。そのためイギリスにジャワのTFから得られる収益(サイコロ7個)の一部を提供することで攻撃を控えてもらいました。また、主力艦隊をインドのゴアに遠征させTFをオランダまで回航します。

第1ターンは終了し、資金的にはオランダが他を圧倒しました。
獲得TF:イギリス→レシフェ・ゴールドコースト、オランダ→ジャワ・ゴア、スペイン→マニラ・ベラクルス、フランス→アンティル諸島、プリンスルパートランド



■第2ターン

第1ターンで得た豊富な資金を背景に、各勢力とも軍拡に走ります。各国とも艦隊を3~4編成できます。イギリス、フランス、スペインは有力な艦隊を2個編成しました。オランダは有力艦隊を2個、アジアからの回航用に艦隊1個、別働隊を1個の4艦隊を編成します。
オランダは大西洋からみると一番奥に位置しており、英仏海峡をおさえられると(スコットランド沖をまわらねばならないため)艦隊の移動に差支えます。また、勝利条件に「アムステルダムの保持」が含まれているため、ヨーロッパ艦隊と遠征用に2個の有力艦隊が必要だったのです。

メキシコ西岸を進発し、マニラ→メキシコへとTFを回航するスペインの太平洋横断の試みは、今度は災難に見舞われました。凪で思うようにすすまず、反乱が発生し海賊に襲われ壊滅寸前になりながらもなんとかTFを持ち帰りました。

オランダは艦隊をゴア、ジャワに向かわせます。しかし、大西洋で壊血病が発生し、8割のユニットが半壊。さらにインド洋でも壊血病が発生(しかも「海難事故振りなおし」カードを使い、振りなおしても壊血病!)し艦隊が壊滅寸前に。ここにセイロン島にいたイギリス艦隊に攻撃され壊滅。日没に救われ1ユニットはゴアに逃げ込みました。しかし、あと1ダメージで全滅してしまうため、アジアからの輸送計画が頓挫してしまいます。

実は、今回のゲームの主役はこのイギリス艦隊でした。
 -カリブ海で嵐に巻き込まれ、艦隊の一部が脱落
 -壊血病発生
 -マダガスカル(アフリカ東)の海賊根拠地を攻撃、壊滅させる
 -オマーン(アラビア)のTFを勢力下に
 -ベンガル(インド)に陸軍を揚陸、占領
 -セイロン沖でオランダ艦隊を攻撃し勝利
 -喜望峰のオランダ要塞を砲撃し壊滅、占領
 -ブラジル北東部のレシフェに帰港

ここで、この日のメインイベントが発生。TFを3つ有したこの艦隊に、スペイン主力艦隊が襲いかかります。
戦史に残る(?)レシフェ海戦が発生します。最高指揮官の能力も同じ、砲員の錬度も同じ("Gunner"カード)、操舵員の錬度も同じ("RakingAttack"カード)です。戦闘艦の数に優る(8ユニット対5ユニット)スペインが圧倒的有利かと思われました。
左緑がスペイン、右ピンクがイギリス

しかし、イギリス海軍の技量が一歩優っていました。イニシアティブ判定で5ラウンド連続して勝利(それも「1」差勝利を連発!)。このゲームではイニシアティブを持った側が先に攻撃し即座にダメージを適用するので圧倒的に有利です。スペイン艦隊を次々に沈めていきます。それでもスペイン海軍の執念か、最後は量で圧倒しイギリス海軍は全滅。指揮官も船と運命を共にし7ラウンドに及んだ大海戦は終了します。全滅しましたが相手により多くダメージを与えたイギリス艦隊が海戦の「勝利者」として記録されました。
ホーンブロワーやボライソーのエピソードに出てきそうな、このイギリス艦隊の運命は十分ドラマになると思います。

1ユニットだけ残ったスペイン艦隊(TF3個!)は主力艦隊を残しているフランス、オランダに狙われます。
しかし、スペイン艦隊はダイス2個で10を出し、インターセプトされずにスペイン本国に帰還、TF3個はスペインのものになました。

とはいえ、イギリス、スペイン両国の海上戦力が激減したためフランス主力艦隊がアフリカのゴールドコーストを占領。オランダ艦隊がレシフェを占領しました。

第2ターンの獲得TF:イギリス・オランダ→なし、フランス→アンティル諸島・プリンスルパートランド、スペイン→マニラ・ベラクルス・ゴールドコースト・レシフェ・オマーンの5個!!


ここで時間切れのためプレイは終了。
しかし、固有勝利条件に一番近かったのはオランダでした。TF港を5個支配していることが条件でレシフェ・ゴア・ジャワを支配しています。無傷で艦隊を保持しているのはフランスしかありません。第2ターン終盤にパスせずに攻勢をかけるべきでした。壊血病の連発を初めとした海難事故にだいぶ恐れをなして弱気になっていました。反省です。


時間はかかりましたが、歴史的興味も満足しドラマもあり充分満足しました。
若干のルール不明点はありましたが、再戦したいゲームのひとつです。


対戦していただいた皆様、ありがとうございました。



※嫌な予感:
大航海時代、列強の海外進出、植民地争奪時代を扱ったゲームで私の大のお気に入りに「Viceroys」なるゲームがある。
かつて7人プレイ(イギリス、フランス、スペイン、ポルトガル、オランダ、ロシア、トルコ)をした際に私はオランダを担当していた。その時の逸話は今でも仲間うちで語り継がれている。
この時のオスマントルコはヨーロッパ進出策をとり中央ヨーロッパまで占領。神聖ローマ帝国領に星と三日月が翻った。次いでアムステルダム攻撃をちらつかされたので献上金を払って見逃してもらった…