2023/11/23

主役…Plantagenet(GMT)

"Levy & Campaign"シリーズで描くバラ戦争。シナリオは前期3本(うち2本はショート)、中期1本、後期2本(うち1本は戦闘のみ)と前中後を連結するキャンペーン1本。ショートシナリオは練習用に用意されていると思われますので、各期に1本ずつの構成です。
今回は「Ⅱ.ウォリック伯の反乱」(15ターン)を選びました。
能力「モンタギュー」と「商人」をつけたウォリック伯。
さらに家臣2をつけている
 ウォリック伯がどんな描かれ方をして、どう活躍するか楽しみです。とはいえ、私はヨーク派を担当しました。
(シェイクスピア「ヘンリー六世」なら第三部、菅野文「薔薇王の葬列」なら5~7巻あたりでしょうね)
 

■Plantagenet (GMT)

「Ⅱ.ウォリック伯の反乱」(15ターン)シナリオは、オールスターキャストです。
ヨーク派のマーチ伯エドワードがエドワード4世として国王になりましたが、王座奪取の功労者ウォリック伯ネヴィルを冷遇したため?裏切られ、さらにウォリック伯はエドワード4世の弟クラレンス公ジョージも味方にし、そのうえ仇敵のランカスター派のマーガレット王妃と共闘する、まさに一番バラ戦争らしいセッティングかもしれません。
やはり、ウォリック伯に注目です。
グロスター公リチャードも登場します。
  

●勝利条件

サドンデスが起きなければ、獲得した影響度累計で勝敗が決まります。両陣営で値は共通。一方のプラスはもう一方のマイナスとなります。
 

    ・獲得(つまり相手のマイナス):地域(北、西、南)支配、地域に領主存在、重要拠点支配(ロンドン、カレー、ハーレフ)、都市の支持多、町の支持多、要塞の支持多。また、数ターンに一度マップ上にいる領主の影響力。
 ・喪失(つまり相手のプラス):影響力チェック(拠点の支配、家臣の勧誘の試み)、敗北や強奪による軍の解散(その領主の影響力の値)。

地域支配、ロンドンやカレーの支配は2点。都市の支持多も2点。基本的には支持/支配を広げていく展開になるでしょう。
戦闘をしかけても領主が1人だと最大でも5点。戦闘しても勝てる保証は無く、損害も甚大になりがちです。なので、仕掛けられたら余程のことが無い限り、戦闘前に亡命を選択することが多くなりそうです。亡命しても、影響力が最大の5を持つ領主であれば、次のターンには復帰できます。
赤字:記事中に登場する地名

●大まかなシークエンス

1ターンはおおきく"Levy"フェイズと"Campaign"フェイズからなります。

"Levy"フェイズでは、各領主は自身の「Lordship」値の数だけ以下を行うことができます。
 -拠点の外交的手段による支配
 -家臣(プレイヤーが移動させる対象は”領主(Lord)"と呼び、"Lord"が招集して軍勢に加わるのが"家臣(Vassal)")の招集
 -輸送手段(荷馬車、船)の獲得
 -兵員の招集(招集した拠点は荒廃します)
 -能力を領主に付加

"Campaign"フェイズでは、行動したい領主のアクションカードを裏向きにして重ねたデッキを作ります。このデッキを反逆者側から順に表にして、記載された領主を活性化させるのです。デッキ枚数は季節によって異なり、4~7枚。アクションカードは領主ごとに3枚用意されています。デッキの中に3枚入れれば、その領主は3回活性化しますが、一方で一度も行動しない領主も出ることになります。
活性化した領主は以下の行動を「Command」値の数まで行えます。
 - 行軍
   隣接拠点の領主はインターセプト可
   行軍の結果、敵味方同一拠点に入ったら、「会敵」→攻められた側は、亡命するか会戦に応じるかを選択する
 - 補給(糧秣調達)
 - 徴税
 - 拠点の支配
 

●展開

シナリオ特別ルールが興味深いです。(1)ウォリック伯とマーガレット王妃は同じ場所にいられない(2)マーガレット王妃をフランスに置いた時点でクラレンス公ジョージを取り除く。
また、全15ターンのシナリオですが、最初にマップに配置されるのはランカスター派3人(ウォリック、ジャスパー・チューダー、クラレンス)、ヨーク派2人(エドワード4世、ペンブローク伯、デヴォン伯が1ターンに登場して3人)にすぎません。残りは9ターンに登場する予定なのですが、シナリオ特別ルールで「ウォリック伯が亡命すると、ランカスター派はこのターンに、ヨーク派は次ターンに登場(実質的に同時)」となるのです。

第1ターン
ヨーク派デヴォン伯が南西エクゼターに登場。カレーにいたウォリック伯もドーバーに上陸。ヨーク、ランカスターも友好的拠点を増やしていきます。
 
第2ターン
サザンプトンに上陸したウォリック伯をエドワード4世が攻撃!…が、ウォリック伯はあっさり亡命。この結果、次のターンにランカスター派の大軍が登場(9ターンに登場する予定の貴族がシナリオ特別ルールのため登場が早まる)することになりました…
このゲームでは、会敵されると自由意志で亡命できる(勝利点~影響度を与えたり、いったん解散となるためデメリットはありますが)ヨーク派は先に攻撃仕掛けないほうがよいかもしれません。ここまでマップに登場している貴族たちを考えると、ランカスター派主力の登場をできるだけ遅らせるのがよく、早めに攻撃かける必要は無いのでしょう。8ターンまで待っても良かったのかもしれません(亡命させた貴族の影響力を得点として得られるので、1度は攻撃したいですが)。

なお、この時の戦力はウォリックが「重装3、長弓3」に対しエドワードは「重装2、長弓2、民兵2」。貴族の武勇値(ダイス振り直し回数)はウォリック1に対しエドワード4!。またホールドイベントカードをランカスターは持っていない(ヨークはダメージ半減カード1枚)ので、ヨークが有利と考えて攻撃をかけました。カードが無ければ有利とは言い切れない状況でした。


第3ターン
ランカスター、ヨークとも1アクションで海上移動できる(通常は、カード1枚の全アクションを費やす)イベンカードをひき、移動範囲が広がります。ランカスターは、ウォリック伯・サマセット・エクゼター・オクスフォードの大軍でイングランドに上陸しエドワード4世を攻撃。エドワードはたまらず亡命。グロスター公率いるヨーク派も北東部ニューカッスルに上陸。クラレンス公ジョージ(エドワード4世の弟、グロスター公の兄)を亡命に追い込みます。

4ターン
エドワード4世がイングランドに戻り、そしてランカスターはマーガレット王妃が登場します(クラレンスは永久除去(※))。マーガレットはついにロンドンに入城。ランカスター派は南部で勢力を拡張。エクゼターのデヴォン伯も攻撃し亡命させます。シナリオルールで「マーガレットがロンドンにいれば3影響点獲得」を活かします。ヨーク派は北部を支配。グロスター公を先頭に南下を開始。
 
(※)今回のプレイでは、シナリオ特別ルールのこのケース「不安定な同盟」でも、「クラレンスは死亡した」とみなしてプレイしています。つまり、カードY26の「堕落した兄弟」の条件を満たすとしています。

5ターン
このあたりから、登場した際に持っていたコインや糧秣が尽きる貴族が目立ち始め、確保に苦労します。作戦よりも先にここれらの確保にアクションを費やさざるを得ません。その動きに付随して、ヨーク派は北部から中部、ランカスター派は南部から西部へと支配を拡げていきます。

6ターン
グロスター公はついにグロスターに到達。実はこのとき、グロスター公の軍を維持するにたるコインを獲得できず、自らの本拠地であるグロスターに行くしか無かった(味方拠点によるルートが通じていなかった)のです。リンカンにいるエドワード4世は、ヨーク派支持の町を拠点とする家臣(Vassal)を自派に引き入れる判定を3度行いますが、すべて失敗(6面ダイスで6のみ失敗)。家臣から徴税したエドワードにグロスター公が合流して支払いを済ませるつもりだったのですが…
ランカスター派は、ウォリックにつけた能力カード「商人」でロンドンを復興(荒廃を解除、再び糧秣やコイン獲得が行える)させ、一息つきます。

7ターン
ウォリック伯はグロスターに軍を進めます。たまらずグロスター公は亡命。影響力が「2」しかなく、復帰は4ターン後となりました…
グロスター公。兵員徴収しても拠点が疲弊しない
ウッドヴィルを能力としている

 
8ターン
なんとハーレフにいたジャスパー・チューダーが給与を支払えず配下が近隣を強奪、軍は解散しジャスパーは亡命します。ランカスター派の狼藉に、周辺はこぞってヨーク派支持になびきます。
ヨーク派はリンカンにエドワード4世、ノーサンバランド、亡命から復帰したデヴォン伯が集結。実は、この3人は影響力が5,4,4とすべて4以上。このスタックが後で効いてくるとは…
 
9ターン
ヨーク派は新たに家臣(Vassal)を獲得。早速徴税します。ランカスター派は、盤石のロンドン支配を続けつつ、ウォリック伯はウェールズ侵攻の機会をうかがいます。
ウォリック伯がわざわざ僻地であるウェールズ(街道がなく移動に難)を攻める理由は、ペンブローク伯が1ターンから持っている能力「 We done deeds of charity」を止めるためにペンブローク伯を解散に追い込みたいからです。この能力は、糧秣1を支払うことで累積影響度を1獲得できる(ターンあたり最大2)のです。辺境で移動さえもしていませんでしたが、勝敗には大きく影響していたのです。

10ターン
初手ランカスターはウォリック伯がグロスターからカーディフへ、ヨークはエドワード4世がそれを追ってグロスターに入ります。しかしウォリックはペンブロークを攻撃。ペンブローク伯は亡命します。
それならば…と、エドワードはロンドンを急襲!ランカスターは亡命をせず、ここに会戦が起きました!(まぁ、ここまで戦闘してないので練習の意味合い込めて)戦力は以下の通り。

ヨーク派

 エドワード4世、ノーサンバランド、デヴォン
 家臣7、重装5、長弓6、民兵7
 武勇合計6

ランカスター派

 マーガレット、サマセット、エクゼター
 家臣3、重装7、長弓6、民兵4
 武勇合計4

まずはイベントカードの応酬。
ランカスター派、ヨーク派とも「Suspicion」を使います。自軍の影響力より小さい敵の貴族を解散させられる、という凶悪なカードです。しかし…ランカスター派最大の影響力はマーガレットの4。ヨーク派のそれは5か4。ランカスター派のこのイベントは発動せず、逆にヨーク派のイベントによってマーガレットの軍は解散に追い込まれます。
それでも別イベントで、エドワード4世の軍を最初のラウンド参加できなくしました。
 

まず、飛び道具の攻撃は、両者ダメージ半減のイベントカードを持っていたためそれほど致命的にはならず。ただ、その後の重装兵達の突撃でランカスター軍は敗走。サマセット、エグゼターは戦死しました。
赤色の囲みは「Routed」ユニット
全兵員がRoutedの領主は敗走チェック要
ランカスター派(上部2名)が対象、チェック失敗した



今回はここでお開き。
 
やはりウォリック伯が常に存在感を発揮しました。能力カードによる荒廃からの復興、イベントカードによるヨーク派の影響度低下、軍を率いてエドワード4世、グロスター公をも亡命に追い込みました。最後の最後でウェールズに入ったところ虚を突かれ、ロンドンの会戦でマーガレットが破れ万事休す。ある意味、辺境のペンブロークで影響度を獲得し続け、ウォリック伯を誘引した、ペンブローク伯こそが真の貢献を果たしていたのかもしれません。
 
 

●ヨーク派、イングランドに帰れない(かも)問題

3ターンのことです。Levyフェイズにおいて、ランカスター派が先手番です。このターン登場する4人(ウォリック伯・サマセット・エクゼター・オクスフォード)はフランスに出てきます。イングランドへの移動には船が必要です。さて、兵員ユニット6個ごとに船1が必要とルールに定められています(船は融通し合って輸送できる)。24個あるので、4つ必要です。ウォリック伯が初期状態で2つ持っているため、サマセットとオクスフォードも1ずつ入手しました。これで輸送は問題ありません……
 
いや、危機はヨーク派側に訪れたのです。ヨーク派が亡命から戻るのはブルゴーニュ。イングランドに戻るにはやはり船が必要です。
しかし、ルールで「船を持てる領主は、両軍合わせて8人まで」とあります。
本シナリオに登場する領主

ランカスター派は既に登場しているジャスパー・チューダー、クラレンスと合わせて5人、ヨーク派はペンブローク、デヴォンで2人。これで合計7人。危なかったです…後手番のヨーク派は、無事ノーサンバランドが船2を入手。グロスターとノーサンバランド合わせて12個の兵員を輸送することができました。

ところが4ターン、先手番のランカスターがLevyフェイズを終えた時点では、こうなっていたのです。
ウォリック伯、ジャスパー・チューダー、サマセット、オクスフォード。このターンに登場したマーガレットも入手。ヨーク派はノーサンバランド、ペンブローク、デヴォン…これで8人…
ノーサンバランドが船2つを持っています。エドワード4世の亡命先であるブルゴーニュに迎えに(既に8人が持っているので、エドワード4世は船を持てません)行きたいのですが、エドワードは6個、ノーサンバランドは8個の兵員を持っています。合計14個なので船が3つ必要になるのです。ところが、「領主1人が持てる船は2つまで」との規定があるのです。エドワード4世、イングランドに戻ってこれず!ヨーク派万事休すか。

ここで、観戦武官の方から「筏みたいなカード無いんですか?」とアドバイスが。
あった!「Great Ship」カード。これは「輸送に関して船の積載能力が2倍になる」能力カードです。この能力をノーサンバランドにつけ(領主1人に、能力カードを2枚まで付けられます)、無事にエドワード4世はイングランドに渡ることができたのです。

この話には続きがあります。
デヴォン伯が、亡命先からブルゴーニュに戻った時に、やはり船を調達できずノーサンバランドを迎えにいかせようか…というとき。
このゲームでは、活性化した領主と同じ場所にいる領主を同行させることもできますが、それは総大将(Marshal)か副将(Lieutenant)でなければなりません。ヨーク派ならエドワード4世かグロスター公です。ノーサンバランドとデヴォンでは、どちらかがどちらかを同行させられない(=船の積載能力を共有できない)のです。
ここでも、能力カードに助けられました。「Captain」です。このカードは、総大将か副将でなくても他の領主を同行させることができる能力を付与します。これをノーサンバランドに付与することで、無事デヴォンもイングランドに連れてくることができたのです。きわどかったです。
ノーサンバランドにつけた能力
海上輸送担当…


なお、後日ルールを読みなおしたところ、船を持てる領主の最大人数は9人でした…
 
 

●補給、支払について

兵員6ごとに1の糧秣、コインを必要とします。支払えないとその場で軍は強奪を行い、軍は解散します。解散するとその領主の影響力を累積値から失う上、付近一帯の拠点が敵陣営になびいてしまう、きわめて大きなペナルティを課されます。
 
必要とする場面は以下の通りです。
 ・コイン:毎ターンのLevyフェイズ
 ・糧秣:Campaignフェイズ   活性化カード単位で、行軍か会敵すると
 
一方、獲得するのはCampaignフェイズで次のアクションを実行します。
 ・徴税アクション(コイン):領主の本拠地、配下にしている家臣の本拠地、または特殊拠点で、味方の拠点を繋いだルートが必要です。
 ・補給アクション(糧秣):同様に、糧秣を補給する拠点と領主が繋がっていることに加え、荷馬車が必要です。


どちらの場合も、拠点の規模によって得られる量が変わる上、そこが一段階荒廃します(depleted→exhausted)。兵員を集めても同様です。兵員を増やすと必要な糧秣やコインも増えるので、おいそれとは増やせません。exhaustedになったら、その拠点からは糧秣・コイン・兵員いずれも得られません。
糧秣に限り、港から揚げれば荒廃しませんが、港から補給を行う領主までのルートが必要です。
 
以下の写真では、ノーサンバランド(写真下部の緑の円)が補給アクションによって糧秣を自分に届けようとしています。
まず、補給源をNewcastleにしました。ここにSourceマーカーを置いています(写真上部の緑の円)
NewcastleはCityなので、得られる糧秣は2です。これをノーサンバランドがいるLincolnまで届けるためには、「経路1つごと・糧秣1点ごと」に荷馬車1が必要です。つまり、赤い矢印のNewcastle→Yorkで荷馬車2、York→Lincolnで荷馬車2の合計荷馬車4をノーサンバランドは有していなければなりません。領主マットには荷馬車4が見えますので、無事に届けられます。なお、写真には説明のために荷馬車2ユニットを二つ置いています(赤い手書きの丸)が、実際は置く必要は無く消費しません。
補給後、その拠点は1段階疲弊します。ただ、港であれば「領主の持つ船の上限数」であれば疲弊しません。ここでは、ノーサンバランドは船2を持っている(青い円)ため、Newcastleの港から糧秣を荷揚げしたため、Newcastleは疲弊せずにすみます。港から領主まで糧秣を届けるには荷馬車が必要なのは変わりません。
 

 
次の写真は、徴税でコインを得ようとしています。
ノーサンバランド(緑の円)は兵員8ユニットを有しているので、毎ターンのLevyフェイズで2コインが必要です。 
徴税は、Campaignフェーズにおいて、領主のアクションカードをひいたときに実施できるアクションのひとつです(1カードあたり実施できるアクションは、領主のCommand値に等しい)。
徴税できる箇所は次の3種類です。①自分の本拠地(ここでは緑の四角)、②家臣の本拠地(赤い円、青い円)、③ロンドン、カレーなど特殊な拠点、①②③いずれも領主まで自陣営支配拠点で繋がっていなければなりません。
また、①であれば自動成功ですが、②③は影響力チェック(影響度累計を1失います)に成功しなければなりません(ノーサンバランドは4…6面ダイスで4以下成功)。
また、いずれの場合でも徴税された拠点は1段階疲弊します。
徴税できるコイン数は、拠点の種類によって異なります。
 

Carliste(緑の四角)はノーサンバランドの本拠地であるためチェック不要、税収額は2(Cityであるため)です。Derbyは家臣Stanleyの本拠(青い円)は影響力チェック必要で成功すれば税収額1(Townであるため)です。Suffolkの本拠Ipswich(赤い円)も同様です。いずれの場合も、徴税したらdepletedマーカーを置きます。
次ターン必要な2コインを集めるには、やはりCarlisteから集めるのが良いでしょう。1アクションで2コイン得られるうえ、自動成功なのが決め手です。
 

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