2018/02/18

気高く咲いて美しく散る…RichardⅢ(Columbia)

2018/02/18 - 23:30 Posted by 20-on-20 , , , , , , ,

このタイトルでは、フランス革命になってしまいますね…
薔薇戦争です。 最近Steamでこのゲームを購入したこともあり、この記事をアップすることにしました。 2017/12のGJ誌付録に薔薇戦争が取り上げられ、何かしらバラ戦争のゲームをする企画を立てたのも、もう2年半も前になります…Crown of Roses(GMT)は敷居が高そうで、Kingmaker(AH)は人数が集まるのか不安でもあったのでRichard IIIと相成りました。

開始時カレーに配置する、ヨーク家の強力な一隊(ネヴィルもいる!)

■ゲームの概要

コロンビアの積木シリーズは基本ルールは概ね変わらず、ゲームごとの味付けも僅かなルール変更で描いて(それがよいとも、ややこしいともいえます)います。
 

●基本手順

カード記載のアクションポイント大小により先番/後番を決め、それぞれアクションポイントを行軍や招集に割り当てゲームを進めます。カードは7枚配られ、両者同時に出し大きい方が先番です。両者のアクションが終了したら戦闘フェイズ。7枚を使い切ったら政治フェイズと呼ばれる盤面リセットがあり、ここで王位が移る可能性があります。
この一連の手順をキャンペーンと呼び、ゲームは3キャンペーンからなります。つまり21回カードをプレイすることになります。 

●戦闘

各ブロックは射撃順/命中率/戦力で表されるのが基本で、本作では王位継承順と忠誠度が加わります。戦闘はお馴染み、「戦力数のダイスを振り、命中値以下が出たダイスごとに1ヒット。射撃順の順序に解決」の基本手順です。 本作では、損害適用が、まとめて1ユニットに集中するために除去がおきやすいです (その時点で最大のステップを持つユニットに損害を適用するのですが、他のゲームでは損害1点毎に「その時点で最大」を判断します。このゲームでは、攻撃側ユニットのヒット算定時点で「その時点で最大」を決めるのです)。 

●王位の移動(簒奪)

手札を使い切る度に盤面がリセットされます。傭兵や民兵は解散します。この時点でイングランド上に残っているブロック数の多い側が王位を得ます(ロンドン支配で1加算、同点は王位維持)。
そして、反乱側の王族が、まず亡命地(イングランドの外)に戻らねばなりません。貴族は領地かプール。この時点で自分の領地が国王側に占領されていると、プールに戻るしかありません。
次いで、国王側の王族はイングランド内に残り、貴族は反乱側と同様です。自身の領地が敵に占有されプールに戻る貴族は、あらためて召集しなければゲームに登場しません。
このため、次のキャンペーンでは現国王側がユニットを多く盤上に残すことになるので、キャンペーンの終盤では貴族の領地を確認しながらの移動になることもあります。ゲーム終了時に国王を保持するプレイヤーが勝者です。もしくは、自身の王位継承者が全て除去されたら敗北です。 

●裏切り

そして薔薇戦争といえば裏切り。両軍の最高位王位継承者と、"キングメーカー"ウォリック伯ネヴィルのみが行えます。攻撃の代わりに忠誠度数のダイスを振り、すべて偶数なら裏切ります。忠誠度は1〜3と「裏切らない」があります。忠誠度1のバッキンガム公は50%で、忠誠度2のノーサンバランド伯は25%で裏切ります。 往々にして裏切り工作するよりも攻撃した方が計算できるので、裏切り工作は使うことが少ないです。私見ですが、1は50%、2は33%、3は17%でもよいように思います。
 

■ゲームの展開

私も4年ぶり、お相手いただく方も初見だったのでルールを確認しながらのプレイです。 実は、このプレイには重大なルールミスがあったのですが、とても劇的な展開だったのであげることにしました。

●第1キャンペーン

初期配置
カレーからケントに上陸したヨーク軍に対し、国王ヘンリー6世率いる軍が"戦闘してみる"ために攻撃。国王の勧誘にウォリック伯も心が動く(あとサイコロ1つだった…)が、ケント伯、ブルグンド弩兵、カレー傭兵の活躍でランカスター軍は壊滅。国王も戦死。この戦いでさらに貴族2人が戦死してしまいました。
ヘンリーⅥ世討死!

その後はヨーク家はロンドンに地歩を固め、ランカスター家はヨークに(ややこしい…)に集結。自派の貴族を登場させることに注力。 結局ランカスター家は全ての貴族を登場させ、王位を保持。ヨーク家は自派の貴族の拠点をランカスターに抑えられ、登場させられない貴族があったため王位を得られず大勝利を活かせませんでした。

●第2キャンペーン 

第2キャンペーン開始(ヨークは3ブロックのみ)

主力が再びカレーとアイルランドに退いてしまったヨーク家は、まず集結を企図。しかし、今度は東アングリアに上陸したヨーク公がランカスター軍に攻められ戦死。これで両家とも最高位者が退場となりました。しかしヨーク家も反撃。再びブルグンドとカレー傭兵が活躍し、ランカスターを駆逐。またヨーク市では疫病が発生しました。 勢力争いはヨーク家が同数にまで追い上げましたが、ランカスター家が保持(同数では王位は移動しない)しています。

●第3キャンペーン 

第3キャンペーン開始

先のキャンペーン後、ヨーク家はウォリック伯をカレーに戻さずウェールズ地方のグラモーガンに置きました(貴族はキャンペーン終了後に、いったん自身の領地か勢力圏に戻さねばならず、それらが敵に占領されていると、マップから取り除いて招集を待たねば登場できません)。ウォリック伯を大陸のカレーに置かず、英本土に置いて早い展開を狙ったのです。 …とまあ、劇的な展開だったのですがここでルールミスが発覚。ここでお開きとしました。

●感想 

キャンペーンごとに配置がリセットされるため優勢劣勢が分かりにくい、しかもゲーマーにはイギリスの土地勘が無い(地名知らない)、都市などの地理的要素が勝利条件に直接影響しないなど、どうも一般受けしない要因が多いようです。 

私はこのゲームが好きなのですが、
勝利条件が(ほぼ)貴族のブロック数、裏切りあり、定期的に盤面リセット、と似ているHammer of the Scotsと比べて人気がパッとしない印象があります。
Richard IIIは、貴族の登場エリアが全土に及び、また貴族ごとに異なります。プレイヤーがそれを把握してからの方がキャンペーン終了間際のムーブを適切に考えることができ、プレイの質も高くなる気がします。どこで誰が出てくるのかわかりにくいのが薔薇戦争らしいのかもしれませんが、ゲームとしての見通しの立てやすさはHammer of the Scotsに軍配があがる気がします(Hammer of the Scotsは、そもそもプレイヤーの立場が変わることはありません)。
それでも、キャンペーンごとの王位交代は本作ならではで、立場が変わり王位を失うと亡命して国外に出なければならないところなど、悲哀を味わい捲土重来を期す気分にさせられます。