千葉会にて、「ポエニ戦争」と、「2 de Mayo(ドスデマヨ)」をプレイしました。前者はタイトルそのままの「ポエニ戦争」がテーマ。ボンサイゲームズの小箱です。後者は、ナポレオン戦争時のマドリード市街戦を扱っています。
どちらのゲームも抽象化をうまくしており、ユーローゲームに寄ったテイストでプレイできます。短時間で終わるのも良いですね。
■2 de Mayo(Dos De Mayo)(Gen-X game)
タイトルは「5月2日」。ナポレオン戦争時の1808年5月2日のマドリード市街戦を扱ったゲームです。フランス軍vsスペイン軍。
抽象化がうまくなされており、両軍の兵力はキューブであらわされています。フランス軍30個、スペイン軍10個です。
移動は完全プロット(秘密裡に移動命令を記載)です。とはいえ、部隊数は少ないし種類は1つだけ。出発エリア、移動先エリア(隣接していること)を書くだけです。指定できる命令数も僅かなので負担になりません。
そして、両軍の移動の非対称性が、このゲームのミソです。
フランス軍は多いですが、2グループしか動かせません(街路エリア始点の移動はカウントしない)。
スペイン軍は、何グループでも動かせますが、同じエリアにいる部隊は分散して移動できません(1エリアから複数エリアには行けないということ。つまり、いったん合流したら再び分散はできません)。
命令の記載が終了したら、同時に公開します。スペイン軍が先に移動します。移動の順番が重要なのは、フランス軍は両軍混在のエリアから出られないからです(スペイン軍は、半数のキューブを残せば出られます)。
移動終了後に、両軍が混在しているエリアで戦闘を解決します。単にキューブ数を比べ、多い方が勝利、少ない側がキューブを1個除去します。多い側がキューブを2倍有していたら2個、3倍なら3個…除去します。
スペイン軍は兵力が10個しかないうえに、フランスに戦闘で勝利するには集結しなければならず、集結すると分割移動できないのがジレンマです。
この読みあい、騙し合いがゲームの中心であり、醍醐味です。
10ラウンドで、以下の条件をすべて満たせばフランス軍が勝利します。
・全てのスペイン軍を除去する
・マドリード市街に入る門すべてにキューブを置いている
・4個以上のキューブを失っていない
つまり、フランス軍がキューブを4つ失うか、スペイン軍が全滅すればその時点で勝敗が決することが多いでしょう。
これだけのシンプルなシステムに、両軍11枚ずつのイベントカードが展開にバリエーションを持たせています。即座にプレイするもの、手札にして後に使うもの、自軍に有利なもの、不利なもの、とバラエティに富んでいます。セットアップ時1枚持っており、毎ターン1枚ずつのドローのため、最終ターンまでに必ず全カードを引きます。
決定的な効果を持つカード(例:フランス軍の敗北条件を1ユニット引き下げる)があるので、それらについては初見の方に対してもレクチャーしておいた方が良いでしょう。
この日は3戦しました。1ゲームは30分〜1時間、といったところでしょうか。
1戦目 〇スペイン vs フランス
スペインがうまく立ち回り、フランス軍に3個損害が出たところに、イベント「ルイス中尉」(フランス軍の損失による勝利条件を、4個失っていない→3個失っていない、に変更)が出てスペイン勝利。
2戦目 〇フランス vs スペイン
スペイン軍がフランス軍攻撃のために早々に部隊を集結させてしまい、フランス軍がスペイン軍を返り討ちにし壊滅させ勝利しました。
3戦目 〇フランス vs スペイン
フランス軍はスペイン軍を攻撃するよりも、移動先を減らすことを重視した作戦をとり、行き場が少なくなったスペインの小部隊から攻撃していきました(前述のように、スペインは合流すると分離できないので捕捉されやすくなる)。時間はかかりましたがフランス軍勝利。
■ポエニ戦争(BONSAI)
ナリはシンプル。
でも、3次100年にわたるポエニ戦争の全貌を描き、プレイ時間も長くない。それでいてドラマチックな展開もある好ゲームです。イベントや能力が記されたカードを用いますが、カードはランダムに引くのではなく自分で選択します。また、ゲームを通じて1回しか使えないカードもあります。また、両軍はリソースポイントを有し、これも使い切りではなく蓄積できるので、使いどころも選択のポイントです。
ゲームの勝敗は、一次・二次・三次の戦いのうち2勝した側が勝利します。そのため、特に第一次戦争中は展開をにらみながら二次、三次のどこで勝ちに行くのかを構想しながらカードやリソースを使っていくことになります。
細かいルールも少なくなく、手続きが混乱しがち(戦争の終了、ターンの終了)でプレイヤーそれぞれが先入観を持った解釈でいると修復できないので、初見では両プレイヤーで流れを確認するのがよいと思います。
手順の構成は、以下のように複数階層になっています(フローチャートが付属しているのでご安心を)。※ここでのルール項番は、ルールブックの項番とは変えています。
(a)戦争
(a.1)準備
- 二次戦争開始には、マップの西半分が使えるようになる
- リソースを受け取る。支払うことで軍ユニットを配置(+ローマは無償配置有)
(a.2)ターン
(a.2.1) カードを1枚(ローマは2枚の時あり)デッキから選び手札に加える
(a.2.2) 先手番を決める 1リソースを払うと先手番。VPの少ない側から決定。両軍とも払わなければ戦争終了し(b)へ(第1ターンなど例外あり)。
(a.2.3)作戦行動
(a.2.3.1)インパルス
- 先手番アクション
- 後手番アクション
- 作戦行動終了判定(終了しなかったら、インパルスを繰り返す)
(a.2.4) 延長 カードを消費して、(a.2.3.1)インパルスに戻る
(a.2.5) VP計算 どちらかが7VPに達したら、戦争が終了し(b)へ。
そうでなければ、(a.2)ターンを繰り返す
そうでなければ、(a.2)ターンを繰り返す
(b)戦後処理
- 戦争に勝利した側を記録する(2勝した側がゲームの勝者)
- VPをゼロに戻す (リソースはそのまま)
- 軍配置を戻す。リソースを受け取る
また、お互いが相手のカードの全貌を知っていないと見通しが立てられないことがあるのは、敷居を高くしているのかもしれません。カードを使うゲームは、初見でも初見ならではの面白さが必ずあります。ただ、本作ではカードに精通していないと、詰む場合があります。そのため、初プレイでは「定石」とは言わないまでも「やってはいけない」ことは事前に確認しておいた方がよいです。
今回のプレイであったのは、ローマが第一戦争でスキピオを出したこと。カルタゴは敢え無く敗北しましたが、ローマが勝利したためスキピオは除去されます(カードの規定)。
第二戦争で(アフリカで勝利する、使用条件を達成)カルタゴは「元老院」を出しました。
カルタゴは「元老院」を出しました。これによりローマはアフリカに渡れなくなりました。「元老院」を取り除けるカードは「スキピオ」しかありませんが、最早除去されています。さらにはハンニバルが登場し、ローマは敗北。以降アフリカに入れないローマは戦局を覆すことが難しくなり投了。カルタゴを攻めるローマ軍 「攻城兵器」を出したのに攻略ならず |
その意味で、初見の方は2回目、3回目からが本番なのだと思います。1ゲームは早く終わるので何度もやりましょう!(間違いなく何度もやりたくなります)。
対戦後「大カトー」の出るゲームは何かあったっけ?との会話になりました。「共和制ローマ」には出てきますが、他にはあるでしょうか。