■Republic of Rome/共和制ローマ (The Avalon Hill Game Co./Valley Games)
念願のプレイ、ずいぶん昔に1度やっただけで、その後は全く機会がなく稼働していませんでした。念願のプレイです。
●ゲームの概要
最初は、The Avalon Hill Game Co.で出版され、後にValley Gamesで再販されました。
背景は、ローマの共和政時代。初期・中期・末期にわけてシナリオが作られています。
ゲーム終了時に、最大の影響力を獲得した議員を擁する派閥が勝利します。
また、終身執政官となるだけの影響力(史実では、カエサルがそうなりました)を得るか、反乱を起こして勝利することでも勝利を得られます。
一方で、市民の反乱・国庫の破綻・4つの対外戦争の発生で全員が敗北します。
1戦目。ボードは地理的なものを表しているのではなく、 プレイの「場」とチャート。ボードの下に派閥がみえる |
プレイヤーは元老院議員の派閥を率います。
元老院議員(または、元老院議員を出す有力家系)には、軍事指揮力、雄弁力の固定パラメーターと、人気、影響力、支持者(騎士階級)、個人資産の可変属性を持ちます。
元老院議員「個人」カード。 左上クンクタートル、右上カトー、左下スキピオ |
元老院議員は「家」「個人」であらわされ、「家」カードが病気などで取り除かれても、再登場するのに対し、「個人」カードは除去されると二度と登場しません。
ざっくりしたゲーム手順は以下の通りです。
1.ランダム死亡チェック
ドローしたチットにより元老院議員が死亡します。
2.収入
●個人
固定収入に加え、権益(軍需産業、造船所、農園、小麦生産など)を持つ議員は、
その個人収入を得る(マスト)+属州総督は利権からの収入を得ます。
ただし、権益や利権を得たら、「訴追」を受ける理由になります。
派閥内で再分配もできます。派閥資産は、勧誘(引抜き)工作への対抗に使います。
●国庫
国庫は収入(固定)100タレントを得ますが、戦争1つにつき20タレントを失います。
個人資産から、国庫への寄付ができます(寄付したら影響力が上昇する)
3.フォーラム
このターンの「場」を作るフェイズです。
プレイヤーごとに、イベント発生またはカード獲得が行われます。
カードは手札として得られるものと、公開されるものにわかれます。さらに、プレイヤーは、他派閥や公開元老院議員の勧誘(引抜き)、支援者(騎士階級)の獲得の試み、競技会の主催(民衆の満足度上昇)が行えます。
また、対外戦争が発生したり拡大することもあります。
4.暴動レベルチェック
暴動発生をチェックします。対外戦争や干ばつによって暴動の可能性は高まり、その時の最高権力者の人気度によって暴動確率は減ります。暴動が起きなくても、軍隊編成を拒否したり、悪いことはいくつもあります。
5.元老院
ゲームの中核です。
(a)執政官の選出(投票)
(b)独裁官の選出(必要であれば)(投票)
(c)監察官の選出(投票)
(d)監察官による「訴追」の実施 (有罪か否かは投票による…訴追の内容と結果によって処刑や失墜)
(e)その他の議事の審議(投票)
・総督の任命
・権益の付与
・法律の施行
・軍隊の招集
・軍隊の派遣(司令官、軍の規模、派遣地を決める。原則として司令官は執政官です)
・司令官の解任
・非重要動議(戦死した司令官の栄誉を称える、など)
原則として、議案を提出できるのは最高権力者だけですが、「護民官」カードがあれば割込みで議案を出せます。
また、「暗殺者」カードにより議員の暗殺もこのフェイズで処理します。
6.戦闘
派遣された軍の戦闘。6面サイコロ3つをふって合計14以上が出れば勝利。この時に、戦力差と司令官の軍事力を加えます。6戦力の戦争に、10戦力(10個軍団)と軍事指揮力4の元老院議員を派遣すれば、(10-6)+4=+8。サイコロ3つの合計+8で14以上で勝利…なのですが、一筋縄ではいきません。戦争カードや敵司令官カードに「Disaster」「Standoff」が書かれている場合、どんなに大きな修正値でも結果が変わってしまうのです……例え勝利しても、軍団に損害が出れば死亡判定チットを引かねばなりません。
なお、軍事指揮力は大スキピオが、マリウス、カエサルが5。スキピオが4。ポンペイウスは…6面ダイス1個+1!です。
7.更新
手札からの議員の派閥への追加、内戦の宣言を行います。
とまあ、議会で決めることが多いこと。
投票数は、雄弁力+騎士数(の派閥合計)で決めます。
雄弁力は大カトー、小カトーで最大の6。ユリウス・カエサルで5、グラックス兄弟は4、5です。
●プレイ記録
この日は2戦できましたが、2戦ともローマ滅亡で敗北しました。
1戦目:
開始時執政官、また権益も得て大勢力に。ただ、この貴族は人気がありませんでした(黒チットはマイナス)。まさに悪代官。
右上の赤い「Censor」が”悪代官” |
一方、第1次ポエニ戦争とマケドニア戦争が勃発します。ポエニ戦争にはハミルカル・ハンニバルのバルカ親子が…
ボード左下の像の絵がポエニ戦争 |
ローマは、まずマケドニア戦争に軍を派遣。決着をつけることができないまま、戦争は拡大していきます。
マケドニア戦争は1次・2次両方が勃発した上にフィリッポス王も登場、シリア戦争、ガリア戦争も勃発。ポエニ戦争は2次も発生します。これで4つの戦争。
1つは勝利しないと敗北するローマは、シリア戦争とガリア戦争に軍を派遣。しかし、ダイスで「15」を出しStandoff。戦争に勝利できず、ローマの敗北となりました。
2戦目:
派閥リーダーはファビウス家。開始時他に議員はいませんでした。第1ターンに「大カトー」が派閥に加わります。それでも2名だけの弱小勢力です…ゲーム開始早々に派閥リーダーが死亡…危険が無いとみなされたのか、執政官の椅子もまわってきます。
しかし…ローマを疫病(イベント)が襲います。
この年監察官であったファビウスを始め、執政官も2人とも病死します。元老院議長を務める資格のある議員が3名全員死亡する前代未聞の惨事です。このゲームをプレイしていて初めて起きました。
イベント「疫病」執政官2名、監察官の3名死亡 |
ファビウス・マクシムス("クンクタートル")がファビウス家に現れます。クンクタートルは軍事指揮力5、「損害を半分にする」特殊能力を持っています。
ゲームがここまで進むと、なかなか挽回するのは難しくなってきます。さらにもう1回死亡チットがひかれまたも死亡…
しかし、ファビウス家は軍事指揮力が高く、騎兵長官(Master of Horse)に指名されることが。
そう、ローマが直面する戦争が3つ以上または20戦力以上なら独裁官を選出できるのです。独裁官が指名できる副官が「騎兵長官」なのです。独裁官と騎兵長官が同じ戦争に派遣されると、その軍事指揮力を加えることができるのです。
この時、ローマは3つ目の戦争に直面。そのうち1つはポエニ戦争(第1次+第2次+バルカ親子の最強の組み合わせ)。
数次にわたり軍を派遣してきましたが勝利できず、もはや戦争の影響で国庫も厳しく(寄付が無いと軍隊も編成できない…)なっています。民衆の不満も高まり、何とか競技会を開催して目先をごまかしている始末。漸くスキピオがゲームに登場し、独裁官を選出。さらに騎兵長官としてファビウスを指名します(軍事指揮力合計9)。最高のカードを切ります。さらに国庫の許す限り最大の兵力を編成。とはいえ、海軍10戦力(さらにバルカ親子+16)に対して13戦力、陸軍に至っては25戦力(さらにバルカ親子+22)に対して12戦力しか用意できず、スキピオといえどもStalemateどまり。
次ターンのローマはイベント「人的資源枯渇」で兵の動員コストが増えたうえに「疫病」にも襲われます。そして暴動チェックで民衆が蜂起し、ローマが崩壊、またも全員敗北となりました。
最終盤面。イベント「疫病」「人的資源枯渇」がボード上部に見える |
●感想
好き嫌いがはっきりわかれるゲームです。
私はこのうまくいかなさ、公益と私益それぞれの追求の難しさが好きです(個々の議員がある程度の資金力~権益など~や、軍事力~司令官に忠誠を誓うベテラン兵~を持っていないと、このゲームでは危機に対応できません)。
ゲームシステム上、強い派閥が生まれると弱小派閥は挽回することが難しくなる(権益と役職を独占すれば良いのですから)のも、マルチゲームとしては(今の水準で見ると)システムに一工夫欲しいところです。
元老院フェイズがゲームの根幹であるのですが、「投票」と護民官カードによる割込みのタイミングなど、処理手順に悩む記述もあります。
また、初期シナリオは協力ゲームと捉え、システム習得のための練習シナリオとみたほうがよいでしょう。ポエニ戦争のどれか+バルカ親子のどちらかはほぼ必ず起こるため、無理ゲーとの評価もあります。
ただ、未だにルールのブラッシュアップを続けている有志の方がいらっしゃるのは、このゲームの魅力をあらわしているのではないでしょうか。
興味をお持ちの方がいらっしゃったら、お声がけください。ぜひご一緒しましょう!