本投稿は「War-Gamers Advent Calendar 2023」に参加しています。
…ダイスの話ではありません。
■10年間のエポック・トピックだと思うゲーム
10年ひと昔、といいます。
長らく遠ざかっていたウォーゲームに再び接したのが2014年のお正月でしたから、まもなく丸10年となります。
2014年以降の「面白かったゲームランキング」も作成途上ではありますが、ここでは「面白かった」ではなく、自分にとってエポック?、トピック?にあたるゲームの中からいくつか挙げてみました。
2014年 Won by the Sword (GMT)、France'40(GMT)
2017年 Guerra a muerte(AtO)
2018年 Elusive Victory(GMT)、Kingdom of Heaven(MMP)
2019年 The Burning Blue(GMT)
2020年 Nightfighter(GMT)
2022年 Britain Stands Alone(GMT)、Norway 1940,PQ-17 Expansion(GMT)
●Won by the Sword
ここでは、Won by the Sword(GMT)についてもう少し書きます。
2014年のオープンゲーム会で、このゲームのプレイを考えている方の投稿に立候補したのがきっかけでプレイ機会をいただきました。ただ、当時は和訳が無かったので、素読みにてプレイしました。初版はルールにエラッタが多く(20ページ以上!)、それにも目を通しておく必要がありました。かなり手間をかけましたが、その分、ゲーム時間は「濃く」なったと感じています。
ゲーム会の場でも、某老舗ゲーム会の方や多くの方からお声がけいただき、それがその後に繋がったケースもあり、さらにその後暫くは「Won by the Swordを素読みでプレイしていた者です」と自己紹介できる、いわば”名刺代わり”になりました。
また、前述のエラッタは、メーカーサイトやBGGでなくConsimにアップされておりました。ゲームを入手されたが「誤りが多すぎ読解不能」と困っている旨ブログで嘆いている方がいると教えていただき、エラッタをご連絡しました。
(なお、現在は第2版となっており、和訳もそれに基づいたものとなっています。念のため書き添えておきます)
皆さまとは、その後も、情報交換やゲームをご一緒させていただいております。
このゲームは、私にとっては
ゲームそのもののプレイ価値よりも、出会いやきっかけなどの、大きなトピックを作ってもらった
ゲームといえるのです(誤解をうむ表現ではありますが)。
「三十年戦争のゲームやりたい!」で手を挙げたことが、その後を変えたと言えば大袈裟でしょうか。
■ゲームの場面における"プランド・ハップンスタンス・セオリー"
ちょっと話題を変えて、大袈裟にして風呂敷を膨らませてみます。
スタンフォード大教授クランボルツ(John D. Krumboltz)らが1999年に「プランドハップンスタンスセオリー(Planned Happenstance Theory)」を提唱しています。人材育成やキャリアコンサル業界で語られることが多い理論です。
詳しい(丁寧で正確な)説明は他の方が作成されているものをご覧いただくとして、ものすごく大雑把にいえば「キャリアの8割は偶然の事象によってつくられる。偶然の事象は待つだけで無く、意図的に生じるよう自分から行動したり。周りの変化に目を向けることで機会を増やせる。生じた事象は自分の行動で新たな道をつくる力になる」といったような理論です(間違ってたらすみません)。
そして、偶然の出会いを増やすには、「5つの行動特性」が大事だと言っています。
●5つの行動特性
「行動特性」は以下の5つです。
1.好奇心(Curiosity)…新しい機会の模索
2.持続性(Persistence)…失敗しても続ける
3.柔軟性(Flexibility)…実現する、可能になると信じる
4.楽観性(Optimism)…こだわりを捨て、態度や行動などを変える
5.冒険心(Risk Taking)…不確実でもリスクをとって動く
これを無理矢理ゲームにあてはめてみました。
特性に沿って、プレイ機会の向上にプラスに寄与する(促進)考えや感情と、マイナスに作用する(減退)それを、思いつくまま挙げてみました。
自戒を込めて。
・促進:素直に「面白そう!」と思って情報に触れる
・減退:時間が足りない、新しいルール覚えられない、と思ってしまう
プライドが邪魔する(そんな簡単なの…など)
2.持続性
・促進:対戦機会が無くても募集し続ける
・減退:もうあの会には行きにくい、もうこのゲームは対戦相手出てこないと思う
3.柔軟性
・促進:だいぶ後発だけど練習すれば大丈夫。いっそ教えてもらおう!
・減退:新規のゲーム会に行くのは(初対面挨拶から始まるので)敷居が高いな~
4.楽観性
・促進:とりあえず今回はお相手のお勧めゲームをやってみよう!
・減退:このテーマはやる人いないからなぁ~、負けたから声かけづらいな~
自分の興味に絞る(例:戦術級はやらない!など決めつけ)
5.冒険心
・促進:なんとなく気になったからやってみよう、持ってなければ声かけてみよう
・減退:思い込み(プレイする人いないんだろうな)、
プライド(人のお勧めでなく、自分の推奨をやるべきだ)
大上段からの大袈裟な屁理屈展開にお付き合いいただき、ありがとうございました。
整理してみると、自明のことを別の表現で書いているだけなのですが、5つの切り口で考えることは整理するのに役立ちます。まとめてしまえば「声をあげつづける」ことと「あきらめない」こと「自分の拘りに縛られない」ことになると思うのですが。
私も2014年当時は、対戦相手の方に迷惑をかけると思い手を挙げることを躊躇することもありました。けっこう思い込みで踏み出せなかった記憶があります。
(しかし、年齢とともに「時間リソース不足」を強く感じるようになりますね。こればかりはいかんともしがたいかと)
■そして2024年
まぁ、上記は”なりゆき”を後付けにした一種の思考実験に過ぎないのですが、2024年も新たな機会を求めることは続けたいです。
他の方に対しては、きっかけを提供する側に少しでもなれるように、
また自分については、新たなゲーム会に参加すること、未知のゲームをプレイすることに努めたいですね。
ウォーゲームに限らず、ユーロでもRPGでも…
特に、新たなシステム(MOI、FightingWings、GBOH、GCACW、OCS、BCS
など)には何かしら挑戦してみたいです。
ところで、
Won by the Swordでプレイしたシナリオは「ネルトリンゲン」でした。ネルトリンゲンは1634年に起きています。三十年戦争(1618-1648)のほぼ折返し時期で、ティリー、グスタフ・アドルフ、ヴァレンシュタインら著名な人物は舞台を去っています。
10年後(1634年)はフライブルクの戦い(1644)が起きています。しかしゲームが入手できません(Thirty Years War QuadのSPI版1st Ed.にはある)。次の主役である、テュレンヌとコンデ公が登場するかもしれないのは魅力的ですが。
ピッタリ10年後では無いですが、ロクロワの戦い(1643年)もありますね。
じゃあ、来年の目標にはロクロワを加えますかね…(GMTのCurious Regioにも期待です)。
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ロクロワの戦い (Wikipediaより) |
そういえば、Ben Hull氏の過去のXのポストには、Won by the Sword2のテストプレイ写真がありました。これはいつごろできるのでしょうか、楽しみに気長に待ちたいと思います。
付記:Won by the Swordのカバー写真、ネルトリンゲン、ロクロワ以外の5つの画像は、Bing Image Creatorで生成しました。Planned Happenstance Theoryの5つの行動特性をプロンプトとして与えています。印象派の絵画のように、と指定したのですが…