2024/04/14

三好が主役、池田ではなかった…長久手の戦い(Hexasim/CMJ)

本能寺の変後の織田政権の再編の中での戦いの一つ、羽柴vs徳川の戦いです(明智、柴田は既に破れています。また、この戦いに秀吉は参戦していません)。Hexasim社の「Tenkatoistu」に関ヶ原、山崎とともにおさめられている1本です。コマンドマガジン日本版付録版をプレイしました。
 

■長久手の戦い(Hexasim社 Tenkatoitsuシリーズ / CMJ )

おおよそのルールは関ヶ原の記事(→リンク)に書いたので割愛します。
中立勢力の動向ルールが無くなった程度で、他は同じです。でも、ほぼ布陣が決まっていてぶつかり合う関ヶ原と異なり、こちらは機動がありそうなのでゲームとして期待が持てます。

●展開

徳川を担当。
徳川は最初から戦闘陣形が発動しています。陣形は「蜂矢」を選択。「蜂矢」は突撃命令が8もあるので、攻勢を最大限行うために選択。一方で「勝った勝った」を相手に3つも与えることと、撤退命令を使いたくなる場面が後半あったので、「車懸かり」か「鶴翼」でも良かったかもしれません。

第1ターン、大須賀(軍勢D)と榊原(同H)に突撃命令を与えます。

しかし、最初にひかれたチットは「回復」。徳川軍大須賀の4ヘクス以内にいた池田軍長谷川隊(同L)が1ヘクス撤退。
次に大須賀(D)が引かれましたが、突撃できるヘクスで2ユニットを相手にしなければならず…自分のみ2打撃。榊原(H)も軍勢チットを引いたのですが、「5MPで行けるところに敵がいない…突撃無効だね」と空振り(ほんとうは、単なるマップの見落とし。5MPで到達、接敵できる箇所は2つあり)。

続くターン、徳川は続けて攻勢をかけますが、小勢力でもあり戦果は挙げられず。かえって、三好(軍勢J)の撤退によって追撃が発生。小勢力がさらにバラバラになります。徳川は序盤の池田の体勢が整わない(再編成命令下にある)間にユニットを除去しVPを挙げたいのですが、池田の後衛での戦力は池田は3軍勢10ユニットに対し徳川は6軍勢7ユニット。足並みも揃えにくいし頭数も少ないのです。

バラバラになることもさることながら、再編成命令下の軍勢の撤退によって、後衛の主力がマップ中央付近にやってこれるのは、何かしら間違っていたのでしょうか…撤退のルール適用はあっていたのでしょうか…でも、コマンドマガジンのリプレイでも、池田後衛は残っているままマップ中央まで戻っています。今回のプレイと異なり最初の突撃は成功しているので、3軍勢まるまるではありませんが、2軍勢は無傷で中央に戻ってきています。

 
また、池田本隊(同A)の前の岩崎城を守備する丹羽氏重(同J)に「勝った勝った」が置かれ、城からうって出て池田本体につっかかります。もちろん池田の敵ではなく、早々に自滅します。

第3ターン、徳川主力の3軍勢(12ユニット)が使えるようになります。とはいえ、2軍勢しか出せず、またチットひきの関係で1回しか移動できない軍勢もありました(増援のマップ進入は、自身の軍勢のチットでのみ。全軍移動チットでは入れない。全軍移動チット→自身の軍勢チットの順でひかれれば、2回移動できる)。
 
徳川、井伊がマップ上部から進入
池田の一隊が呼応して向かっている
三好がマップ中央まで撤退。徳川の軍勢を釣込んでいる

5ターン、VPでビハインドしている徳川は(※)、池田主力がやってくる前にVPを得ようと攻撃をかけます。当初は成功したように見えましたが、これが裏目。このシステムでは一旦戦闘に入ると離脱が難しく、ずるずると消耗していきます。そこに池田の主力も到着。
徳川、堀(0-2)を攻撃。ダイスが走り、一撃除去。
堀は総崩れチェックに失敗し、堀秀正切腹。


徳川、池田が集まってくる前に…
この時点では優勢かも、と思っていた…


池田輝政が到着し、井伊と戦闘に。
徳川は三好と揉み合いに。池田本隊到着前に、量的に厳しい徳川勢
 
池田恒興の本隊に、井伊直政が乾坤一擲切り込み、3ヒットを与えます。一発除去ならず、惜しい!(総大将が討ち取られると、命令ポイントが受け取れなくなります)。

最後は池田の物量の前に覆いつくされた状態になり、徳川正面の三好に「侍」も登場。池田の勝利は動かないとして終了しました。

徳川と井伊が個別に敵軍勢に当たることになってしまい、そのままずるずると消耗してしまったのが敗因でしょうね。織田が出遅れたこともあるかもしれませんが、徳川・井伊・織田の連携に一考を要します。また、「後退」命令を使ってもよかったのでしょう(忘れていました)。
 
 
ちなみに、今回の池田一族はいいところなく、池田恒興、息子合わせて命令変更に何度失敗したか…7〜8回にはなったと思います。今回の主役は三好でした。

●感想

前述の通り、両軍がダイナミックに移動するので、セッティングとしては興味深いです。
今回は徳川を担当しましたが、想像よりも最初の"奇襲"の結果は出ないのでは、とプレイ後に思いました。
今回はルールミスもありましたが、仮に最初の突撃が成功していても、せいぜい1〜2ユニットの除去程度でしょう。コマンドマガジンのリプレイでも、2ユニット除去をしていますが、有力な戦力(三好;軍勢Jの4ユニット、田中;軍勢Kの3ユニット)は残っていることでは同じです。同じくリプレイでは"うまく逃げられた"と表現していますが、実際のところほぼ生き残るのでは…少なくとも、三好の軍勢は逃げられるのではないかと思います。でも、リプレイ記事中には”多くが討たれる”との記載もあるので振れ幅が大きいのかもしれません。
もともと徳川はユニット少ないので、池田の後衛を奇襲で除去しない限り、厳しいのでは…しかし、前述の通り徳川の奇襲部隊は6軍勢7ユニット。第1ターンから攻撃できるのはおそらく3ユニット。池田後衛の主力は、2〜3ターンにはマップ中央に布陣するか、せめて到着できるでしょう。
また、3ターン増援の徳川、井伊、織田で後衛から逃げた三吉(J)や田中(K)を無力化して得点するのも、案外難しいです。駆逐する前に池田本隊が到着するので。
今回初プレイなので、まだわかっていないことばかりだと思います。徳川の勝ちパターンを探したいですね。

(※)これも厄介です。池田は岩崎城のVP5を獲得していますが、これを算入するのはゲーム終了時です。そのため、ゲーム中のVPトラック上では徳川がリード。(今回は適用を誤っていましたが)選択ルールの「侍」も池田方に適用されることになります。
 

●ルールについて

やっぱり、ルールライティングに問題ありますね…
ルールというのは、プレイヤー間の解釈がわかれるものはあってはならないはずであり、もしそのような記載をせざるを得ないなら、あらかじめ事前協議必要項目としてルールライターが列挙しておくべきです(時間が勿体ない)。理想的には、ですが。
このゲームは、構造が複雑、おなじことをするにもケースで変わる(ユニットが盤上を動くのも引いたチットと命令の組合せで変わる)ため、誤解が生まれやすい?です。残念ながらコマンドマガジンの記事やリプレイではページ数の制限のためかすべてクリアにならず、ひしぐべいさんのnote(→リンク)に相当助けられました。

であっても、やはり解釈がわかれる(幾通りにも読める)箇所が出てしまっています。
「できるだけ〜する」というワードを使うのは、ルールとして如何なものか、と思います。「〜すること。ただ、満たすことができなくても罰則は無い」と、最初に断定表現を持ってくるだけでもミスリードは防げるのではと思います。
一方で、ユニークなシステムであることは充分に楽評価されるべきで、面白いゲームなのですが、もったいないです。