2024/06/15

Liberty Roads(Hexasim)をプレイしました

2024/06/15 - 0:00 Posted by 20-on-20 , , , , ,

念願かなってプレイにこぎつけました。44年6月のノルマンディー上陸から始まるキャンペーンです。

ドイツから西を見る

■Liberty Roads(HXM)

●規模とコンポーネント

1ユニットは師団、1ヘクス=25Km、1ターンは1ヶ月。
マップはとても美しく、ユニットも兵科記号に加えて師団徽章も入っていて綺麗です。モチベーションが上がるコンポーネントです。
英仏海峡~南は地中海まで
フルマップ1.5枚くらい

●ルール概要

 基本シークエンスは、補給-支援-移動-戦闘-突破。ZOCは補給時を除き適用されません。
 戦闘は戦闘比によるCRTで6面ダイス2個で判定。戦闘時プレイヤーの意思で使えるオプションは、エリートと装甲突破の2つ。前者は、一定の範囲の中で戦闘結果を選択でき、後者は「突破」の結果が得られたときに対象ユニットが2倍になります。突破対象ユニットは、2回目の移動と戦闘を行えるのです。戦闘解決と突破については独特(特に6面ダイス2個なので振れ幅が大きい)なので、肌感をつかむためにお試しプレイをお勧めします。
 
 ここまで触れていない「支援」フェイズこそ、Roadsシリーズの特徴である「支援チット」の獲得にあたります。
  
 
「支援チット」は、連合軍であればヤーボやパットン、自走砲兵など、ドイツ軍であれば重戦車大隊、ネーベルベルファー、モーデルなどであらわされ、プレイヤーの任意で投入できる、まさに「支援」をあらわします(連合軍には、モントゴメリーなる悪夢もありますが)。
 
 各ターンに引けるチットの枚数を算定するルールが両軍それぞれにあります。連合軍は支配港湾が影響します。補給物資を揚陸するために港湾、特に大港湾が必要であった事情を、支援ルールで表現しているのです。そして、ドイツ軍は総統の信任です。信任度がゼロになると、蓄積してい支援チットは失われます。上げるためには、(占領された拠点の奪回に加えて)2個以上の装甲師団を投入して攻撃しなければなりません。反撃、反撃、反撃!なのです。なお、ドイツには「戦略予備」のルールがあります。「戦略予備」から出せるのはゲーム中1回だけですが、戦略予備に置いた支援チットは失われないのです。もちろんユニットも置けます。「ラインの守り」をやりなさい、というルールですね。
 
 以上の基幹となるルールに、海上輸送・空挺降下・自由フランス軍、そしてもちろん強襲上陸が加わります。それほどルール難易度も高くなく、すぐ慣れることができます。ただ、強襲上陸は特別シークエンスになるので、別個事前確認が必要でしょう(強襲上陸にもチットがあります。ホバート・ファニーズもありますよ)。

●展開

 今回は、D-Dayシナリオを選択しました。
 全9ターンで、連合軍は目標(秘密裏に選択)を4つ選択し、3つを達成すれば勝利です。
私はドイツ軍を担当。
 なお、このシナリオでは、チット引き用のカップが6つ必要です(上陸時連合軍、上陸時独軍、連合軍支援、独軍支援、独軍カンプグルッペ、連合軍自由フランス)。
 

第1ターン

 連合軍が上陸に選択できる沿岸は多いです。ブリュターニュ半島やカレー、ビスケー湾も選べます。結局、守備隊や揚陸可能量、その後の進撃も考慮してノルマンディーに落ちつきました。早々に大港湾を獲得したいので、シェルブールは外せないと思います。ブレストはドイツ軍も少ないですが、いかんせん遠いですし…

 
 上陸できる海岸は、LSTのマークと、それを頂点とする薄いグレーの三角形で表されます。その下に3つの数値が記載されています。 例えば、ディエップやルアーブルを含む海岸は「6/11/9」です。最初の数値が初期上陸可能師団数、2番目が後続上陸可能師団数、3番目が上陸支援用のリソース(チット)です。
 今回の連合軍は、悩んだ末にノルマンディー(内陸にカーンやサン・ローがある)を選択しました。ノルマンディーも「6/11/9」です。
 
 上陸は特別なシークエンスを行います。
沿岸ごとに定められた第1次上陸許容部隊数を沿岸へクスに配置します。また、連合軍は上陸用のリソース(艦砲射撃やヤーボ、ホバートの第79機甲師団など)を配分します。ドイツ軍は、沿岸防備隊+配置されたユニットで防御します。さらに、ランダムにチットをひいて加えます。

 連合軍の上陸地点のうち、最北のサン・メール・エグリーズには第82空挺師団が降下、しかしサイの目ふるわず壊滅します。ユタへの上陸はアメリカ軍。なお、他の2箇所の降下はステップロスはあっても成功しました。
 オマハには強力な独1個師団が守っています(上陸は"ビッグ・レッド・ワン”を含むアメリカ軍)。ジュノーにも独1個師団がいます。ここには英軍が上陸します。ところが、何と予備指定されていた(ドイツの上陸戦闘チット)12SS が海岸に突入します!…という展開もありましたが、連合軍は3箇所すべてに2シフトの艦砲射撃支援につけ、上陸に成功します。
矢印:上陸先と上陸部隊(線で上陸戦チットと結ぶ)
白皿:独上陸戦闘チット
赤:サン・メール・エグリーズ
青:オマハ
橙:ジュノー(12SSが突入!)

上陸手順終了

2ターン

 イギリス軍はカーンに対して攻勢を発動。3ステップの損害を与える大勝利。シェルブールの包囲が始まり、またアブランシュの攻撃が始まります。ドイツも兵力を集めますが、カーン南方に突破の兆しが…

3ターン

 フォーティチュード作戦(上陸地点欺瞞作戦)をドイツが看破し、以降の移動に制限が無くなります。
 アランソンに進んできたイギリス機甲師団に、重戦車の支援を受けて反撃、勝利します。
(モンティが登場していますが、大攻勢やマーケットガーデンを発動しなかったのが、連合軍にはラッキーでした)

4ターン

 天候は嵐、ドイツ軍にとってチャンスではありましたが…シェルブールが陥落、またアブランシュも突破され、サン・マロまで失陥しました。戦闘結果で「突破」が出ると参加していた一部の部隊は2次移動、戦闘ができるのです。

 
 ドイツも装甲2個を含む大規模な反撃を実施(総統の信任を失わないためには必要)。カーンまで1へクス、海岸まで1へクスに前進しました。

5ターン

 天候は荒天。イギリス軍戦線に兵力を集め過ぎたか…
 アブランシュを突破してアメリカ軍はRennesを解放。ブレストにも迫ります。
失態が相次ぎ、ついにドイツ司令官は解任されます。解任されると、蓄積していた支援チットを捨てなければなりません。

6ターン~7ターン

 ブレストの攻撃が開始され、あっけなく陥落しました。サン・ナゼールも解放されます。
アンヴィル・ドラグーン作戦が発動。連合軍は南仏にも上陸します。
ドイツ軍も海岸近くで反撃しますが、敗北を喫します。


 時間的な制約もありましたが、展望が見えてきたのでここでお開きとしました。

 D-DAYシナリオでの勝利条件は、9つの候補(※)の中からあらかじめ4つ選択しておいた目標の3つ以上の達成で連合軍勝利、1つ以下ならドイツ軍勝利です。今回のプレイでは、連合軍は1つ確定、2つがほぼ達成だったので、シナリオ最終ターンまでプレイしていれば連合軍の勝利で終わっていたと思います。
それでも、9つの候補が、そもそも難しかったりバラバラだったりで、焦点を絞るのが連合軍としては難しいとの認識で両プレイヤーで一致しました。
(※)大港湾(アントワープ除)・アントワープ・ブリュッセル・パリ・V1基地5つ・ドイツ国内大都市・フランス/ベルギーの大都市8(パリ、ビュッセル除)・オランダの大都市3・Uボート基地3・最終ターンにドイツ国内に6個師団



●感想

 師団規模、1ターン1ヶ月のゲームでしたが、思ったよりテンポよく進みました。それに加えて支援チットや上陸処理のディティールもあって、盛り上がります。今回の例でも、上陸時の航空支援vs対空砲、ドイツ悪天候を受けて(総統からの信任のため)装甲2個師団に重戦車の支援→突破や、連合軍によるアブランシュ突破(重砲+航空支援)など、ダイスを振る手にも自然と力がこもるようなミクロレベルを想起させる味付けもありました。
 上陸時の処理は別になりますが、基本的なルールの難易度は普通のレベルにあるのではないでしょうか。ただ、支援チットの使い方にクセがある(「マップに配置する」ものと「使う」ものとの違い)のと、戦闘結果の算出も独特なので、その詳細の確認が慣れてくればもっと早くまわせたと思います。マップとユニットが綺麗なため、かえってセットアップに時間がかかる気もします。ここは準備を工夫すれば対応できるでしょう。ユニット上に意匠が多く、「エリート」マークが見にくいのが難点でしょうか。とはいえ、綺麗なユニットだとプレイ意欲も増すので贅沢な悩みですが。

 今回、充分に活用しきれなかったルールは、(1)補給(2)PLUTOです。
 (1)補給ルートは、補給源-道路or鉄道-HQ-HQ指揮範囲内(敵ユニット、ZOC、大河川は通れない)を辿ります。HQユニットはそのターン移動しないことで大河川を通す「舟橋」を設けるモードにすることができます。防御側は戦闘解決直前にも補給判定があります。
 (2)PLUTOは、連合軍の補給システムの主軸をあらわし、マーカーで表現されます。「PLUTOから3へクス以内」と規定されているアクションが連合軍にはいくつかあります。大港湾の修理、マップ上での機甲/空挺の補充、一部の支援チットの利用(航空支援、重砲をはじめとして)が該当します。PLUTOを移動させるためには、支援チットの消費が必要になるのです。3へクス移動には2つ、5へクスには3つ必要となるのです!
 
 今回のプレイでは、主戦線である東側が7ターンではカーン-ファレーズ-アランソンの隣1へクスにあり、支援チットの主な投入場所がそれほど動かなかったこともあり、補給もPLUTOの移動もルールはさほど利用することがありませんでした。機動戦の度合いが大きくなる展開になると、PLUTOの移動や補給網が連合軍の悩みになってくるのではないかと思います。

さほど複雑ではないルールでプレイアビリティも高く、上陸後の陣地戦~機動戦への移行が堪能(D-DAYシナリオでもカバーできています)でき、味付けも効果的でバランスのとれた素敵なゲームだと思います。
またプレイしたいゲームです。