コマンドマガジンが、三十年戦史(ダブルチャージ)を掲載(再版)することに刺激を受け、三十年戦争ものをプレイしました。
The Spanish Roadは「『「スペイン道』を維持するスペインの努力」を切り取っている、ソロプレイ専用ゲームです。
■The Spanish Road(RBM Studio)
スペイン道とは、ハプスブルク家スペインの領土である、フランダースからイタリア(ミラノ、ナポリ)への軍用・商用道路です。オランダとの戦争(80年戦争)のために敷設されたそうです(Wikipediaより)。
Thirty Years War(GMT)のマップにあらわれている範囲では、フランシュ=コンテ・スイス・ヴュルテンベルグ・ロレーヌ・下ファルツ・スペイン領ネーデルランドが相当します。ハプスブルクとフランスの”永遠のライバル”関係下においては維持に危機を感じるルートですね。
気分を盛り上げるために、久しぶりに、「聖餐城」を読みました(ウェッジウッドの著作は本棚のどこかにあって、発掘できていません)。この物語はファルツ期〜フランス期の、ほぼ三十年戦争全期間を描いていますが、このゲームの地図はぐっと狭くなっています。時期は不明です。なぜなら、リーダーはアルバ公、スピノラ、インファンテ枢機卿から選択しますが、それぞれ活躍期間が三十年戦争前・初期・後期とまちまちだからです。
今回のプレイでは、「イサック」の最終巻がまもなく出版されることもあり、その繋がりでスピノラを選びました。
ユニットはマーカーも含め22個。うちプレイヤーが操るのはリーダー1個だけです。
ソロプレイゲームとしては、P2P侵攻型(BANZAIマガジン2号)に分類されます。
本ゲームのシークエンスは以下の通り。
・外交(フランシュ=コンテ反乱ランダムイベント)
・ランダムイベント
・アクション(2回)
・プロテスタント軍移動
・ターンマーカー移動
肝となるアクションは、移動・戦闘(野戦)・攻城戦・建設・増援受領です。
プレイヤーはリーダーに率いられたスペイン軍を操り、イタリア(ロンバルディ)からフランダースに向けて連絡線を確立します。途中、街の守備隊に加えて5個のオランダ/スイス/イタリア軍が存在し、ランダムに移動します。
街の守備隊を制圧すれば、スパニッシュロードが建設できます。ネーデルランドへ到達するのに時間制限があり、守備隊制圧/建設に要する時間をかけずに先に進むこともできます。
ただ、VPはスパニッシュロード建設が最も大きく、さらに、連続した街に建設するとボーナスがあります。これがVPの中心です。なお、敵軍が残ってると減点されるので、可能な限り敵軍の除去も狙います。戦闘は敗北のリスクに加えて時間も要するので、すべての敵軍を撃破するのは難しいかもしれません。
今回のプレイでは、ロンバルディ〜サヴォイ〜スイス〜ヴュルテンベルク〜バーデン〜下ファルツ(Lower Palatinate)〜フランダースのルートを通りました。写真に「Spanish Road」のマーカーが見えます。
ロレーヌ、アルザスに強力な(点の数が戦力)プロテスタント軍が見えますが、それとの戦いを避けています。前述のように、残ったプロテスタント軍の数だけ減点されるので、3個軍は撃破しています。このプレイでは28VP、「大勝利」でした。
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2回目のプレイで勝利 |
ゲームとしての判断ポイントは、連続ロードをどこで作るかのルート取り、機を見て戦力の低いプロテスタント軍を(集合前に)撃破するタイミングの見極めだと思います。
ソロプレイゲームでは、どれほどゲーム舞台にシンパシーを感じられるかで楽しさが大きく左右されます。スペイン軍がドイツ諸侯を服属(攻城戦)させてスペイン道を建設し、それをプロテスタントが妨害する雰囲気は感じられます。
スペインとドイツ諸侯との関係は、イベントとエリアによる移動の容易さとで表現されているように思います。
いずれのリーダーでも能力の差こそあれ同じルール、勝利条件ですが、スピノラならばいち早くネーデルランドにたどり着かなければならないとか、インファンテ枢機卿ならネルトリンゲン(方面)に向かわなければならないとか(時系列滅茶苦茶ですが)、リーダーの置かれた背景を盛り込んでもらえると、より三十年戦争を感じのめり込めるゲームになるのかもしれません。
Player's Aidにデザイナーインタビューが掲載されています。