滅多にない、15世紀東欧!の宗教戦争であるフス戦争(日本では大西巷一氏作の「乙女戦争 ディーヴチー・ヴァールカ」で有名です)を描いた作品。アナウンスされた時から期待して待っていました。
封建諸侯、騎士中心の神聖ローマ帝国軍vs大砲・ワゴン・農民兵のフス派の、非対称戦として期待していました……
■Blind Faith(AtO)
ルール不明点を読み合わせつつプレイ。
教皇、教皇特使、十字軍、十字軍騎士団のルールは、とてもワクワクさせました。
十字軍を始められるのは教皇(第1ターンは判定不要で開始されている)で、十字軍が開始されると教皇特使が派遣されます。
教皇特使のいる場所には、ドイツ騎士団がダイス1個〜3個出現し(開始時の特使の能力では1個、毎ターンの判定で交代できる)、また特使のいるスタックだけが、カトリック/神聖ローマ帝国側の諸勢力が混在してスタックできるのです。
神聖ローマ帝国側は、ハンガリー・オーストリア・ザクセンなど諸勢力からなるので、十字軍と教皇特使は重要です。
一方で、十字軍の間はフス派もターポル派、オレープ派がスタックできます。
ターン手順は、
イベント→収入と支払いと軍勢招集→十字軍関連処理
→神聖ローマ帝国作戦→フス派作戦→ターン終了処理
→神聖ローマ帝国作戦→フス派作戦→ターン終了処理
です。相手側の作戦時に、自軍スタックによる迎撃が入ります。各スタックは、1ターンの間作戦か迎撃のどちらかしかできません(例外:ジシュカ)。
敵味方同一ヘクスに入ったら戦闘になります。戦闘は野戦か攻城戦のいずれですが、どちらも2段階で処理されます。野戦は、射撃/スカーミッシュ→突撃(騎士)の順で、攻城戦は(強襲するなら)砲撃→強襲です。
両軍とも砲撃可能なユニットは数個で、全ユニットが野戦における射撃/スカーミッシュが行えます。いわゆるワゴン(ワゴンブルク)の特徴は以下の3点で表現されています。
①砲撃
②騎士突撃に対する防御戦闘の効果
③ヤン・ジシュカとスタックしていると、1ターンに2回行動(迎撃と作戦)できる
おそらくデザイナーの意図としては以下があったのでしょうが…
・多方面から侵入する神聖ローマ帝国の軍をジシュカとワゴンが
ボヘミアを縦横無尽にかけまわり各個撃破する
ボヘミアを縦横無尽にかけまわり各個撃破する
・突撃する騎士を、フス派がワゴンの射撃で蹴散らす
・十字軍が起きていないとスタックに制約があり、十字軍騎士団の援軍は
大軍で有効でもあるから、特使派遣を教皇に依頼し続ける
大軍で有効でもあるから、特使派遣を教皇に依頼し続ける
という感じを出したかったのでは…と推察します。
この日のゲームプレイは、最初から発動している、ブレスラウにいる皇帝直率の十字軍の大スタックがチェコ北東から侵入。呼応して北西からザクセン軍、南からオーストリア軍も侵入します。
圧倒的な大兵力があるので、射撃/スカーミッシュ戦闘で(多対一の組み合わせが可能!)寡兵のフス派は一蹴…
結局、全ユニットが参加でき、多対一が可能なので、いかにジシュカやワゴンがあろうとも、射撃/スカーミッシュ段階で蹴散らされてしまうのですよね…
![]() |
Pilsenでジシュカ、ワゴンのフス派(青)壊滅 |
ということで、
第1ターンに西部のプルゼニ(Pilsen)でジシュカ戦死、これによりフス派が分裂。
大プロコブが登場しますが2ターンに戦死、有効な戦力も失われたので、ここでお開きにしました。プラハをはじめとする勝利条件都市もすべて神聖ローマ帝国が占領し…競技ゲームとしては、バランス云々以前です。
![]() |
赤:神聖ローマ帝国軍の進路。 北東からの十字軍がプラハ、ターポルを陥落させている |
感触としては、第1ターンのプルゼニの戦闘でジシュカが除去されたら、プレイをそこでやめても良いような気がしています(前述の通り、神聖ローマ帝国有利なバランスの上に、ジシュカが除去されたらプレイヤーも士気阻喪しますから)。
なお、標準ルールでは「十字軍を意図して終了させる」必要は無く、またルールで終了することも無いので、神聖ローマ帝国プレイヤーが終わらせる選択をとることはありません。
マップも綺麗で、ボヘミア中心のマップは他には見られませんし、十字軍や教皇などそれぞれの要素は魅力的です。でも何かボタンの掛け違えがある気がします。
デザインの問題なのか、デベロップの問題なのか…テストプレイしたのか……
同テーマが、GMTからLevy & Campaignシリーズとして出版予定ですから、期待もそちらにいってしまうのですが…
でも、多くの方がコメントしている通り、本作のルールの抜本改定にも期待したいです。
付記:
2024/3/15、6/1にAtOのサイトでaddendaが掲載されました。
「小さなウォーゲーム屋」さまに、addenda翻訳をお送りしています。
商品ページにリンクが付けられています。