2022/11/27

ヒッパー受難(再)…Norway1940:A PQ-17 Expansion(GMT)


 

■Norway1940 : A PQ-17 Expansion(GMT)

2022年、いちばん時間かけたゲームです。
ところで、PQ-17は"Decision at Sea"シリーズと銘打たれています。PQ-17からNorway1940まで13年。次が出ることはあるのでしょうか…


想定していた会場が使用できず!、開始までに手間取りました。しかし、プレイそのものは2回目(前回のプレイはこちら→リンク)になり、だいぶ順調にまわせるようになりました。
とはいえ、16.6.2項「Invasion」のルール処理の記述が怪しい。チャート作りましたが、そのまま適用すると上陸できなさそう…

今回は独軍を担当。
しかしどう考えても艦艇が足りない。英艦隊にぶつかったら壊滅する恐れは高い(レーダー提督の心配がわかります)。
結局、上陸艦隊は5つにしました。
1.オスロ 
 ここは艦隊編成はほぼ指定されています。装甲艦リュッツォー、重巡ブリュッヒャー、軽巡エムデン等。展開されているノルウェー軍、砲台も最も強力です。
 
2.スタヴァンゲル 
 軽巡カールスルーエ、魚雷艇等。史実では、輸送船も含めクリスチャンサンに向かっています。クリスチャンサンは沿岸砲台が強力なため、揚陸せず空挺部隊だけで攻略することにしたのです(この評価について後述)。
 
3.ベルゲン
 軽巡ケーニヒスベルク、護衛艦、旧式駆逐艦等。史実では軽巡は2隻。ベルゲンも砲台が強力なため、かなりギャンブルですが…
 
4.トロンヘイム 
 重巡ヒッパー、駆逐艦。史実と同じ編成です。トロンヘイムも砲台が強いです。
 
5.ナルヴィク 
 軽巡ケルン、駆逐艦。史実では駆逐艦10隻。砲台はありませんがノルウェー海軍が存在し、またドイツから遠くなるため軽巡をつけました。
 
 シャルンホルスト、グナイゼナウと駆逐艦で別働隊を編成。ベルゲン付近に必ずあらわれるイギリス輸送船団を狙います。
それにしても艦艇が足りませんね。やはり、史実ではよく決行したと思います。

(後述しますが、侵攻時の奇襲/砲台戦闘/上陸/占領判定は、かなり曖昧~むしろ占領不可?~なので、対戦相手の方がよくよくよく解釈を確認しておく、場合によってはハウスルールを決めておくことが必要です。この解釈によって、艦隊編成が変わると思います。プレイ前の私の解釈、「砲台が機能していても戦闘艦からなら上陸可能」に基づいてです)

さらに後続船団が3つ(陸軍重装備などの輸送船団)あり、事前プロットは9個となります。
事前プロット。同じヘクスをこれだけの艦隊が
通るので、拡大コピーしたほうがよい

●展開

7日午前(7am)ターン
イギリス本国艦隊アラートが発令され、自由に移動できるようになります。この日は両軍発見に成功します。
ドイツ軍はJu88が英駆逐艦を1隻空襲で撃沈、しかし、ドイツ軍は座礁(イベント)で駆逐艦が1隻沈没。
さらに、ウェリントン爆撃機がトロンヘイムに向かう船団を発見、空襲します。これにより重巡ヒッパーが2ヒット!積載している山岳部隊が失われます。英軍はイベントで早くも空母フューリアスが登場。艦載機はソードフィッシュといえ脅威です。

7pmターン
連合軍はベルゲンに物資5ポイントを揚陸。これでも1.25VPにはなるのです。

8amターン
トロンヘイム侵攻部隊が、英巡戦レナウンの艦隊に発見されます!手負いのヒッパーを含むドイツ軍は即座に回避行動をとります。レナウンは砲撃だけでなく雷撃までも!幸いに命中弾はありませんでした……
巡洋戦艦レナウンに砲撃のみならず
雷撃までもされるヒッパー(下部左)

8pmターン
ついに侵攻ターンとなります。
空挺部隊はオスロとクリスチャンサンに降下します。
 
オスロ…奇襲が起きず、砲台と戦闘。リュッツォーが被弾するも陸軍が上陸し、港を占領します。
スタヴァンゲル…奇襲により占領しました。
ベルゲン…奇襲が起きず、しかも3ラウンドと最長の砲台との戦闘。護衛艦、旧式駆逐艦が殊勲の活躍。砲台を沈黙させました。
トロンヘイム…ここが最大の難関。すでに発見されているため奇襲が困難です。トロンヘイムの砲台は強力です。10%にまで成功率が落ちた奇襲判定に成功!戦闘無しで上陸できました。無事に占領。
ナルヴィク…順当に奇襲で占領しました。

空挺が降下したスタヴァンゲルも含め、6都市を占領(または占領間近)できています。
一方、連合軍も反撃。オスロに向かっていた後続輸送船団を潜水艦が攻撃し損害を与えます。
さらに、ベルゲンに揚陸した艦隊を双発爆撃機群が攻撃。軽巡ケーニヒスベルグを撃沈。

9amターン
ドイツ軍にまたも悲劇。ナルヴィクで駆逐艦が座礁、沈没します。

…ここでお開きとなりました。
ここまでのドイツ軍の被害は、軽巡1隻・駆逐艦2隻が沈没。重巡ヒッパーが中破など。
連合軍は駆逐艦1隻です。
ここまでのVPはドイツ軍が圧倒的ですが、このままゲームを続けていったら、連合軍の上陸部隊(R4部隊)がナルビク、トロンヘイムあたりに来たら迎撃できる見立てが立ちません(ベルゲン以南は空軍力でおさえが効きますが)。続けたらもう一波乱あったと思います。
終了時艦隊編成
 
終了時(陸)

●反省など

”空軍力でおさえ”に関してですが、
ドイツ本国のBf109・Ju87を、「占領した空港に翌日の午後ターン」に基地変更(シナリオ特殊ルール5項)できます。もちろん早く基地変更したほうが良いわけです。

しかし、しかしですね…「空港の占領」の定義が明文化されていない(one wordでの説明が無い)…     
16.1.5の「重要」には、「侵攻[16.5項]または地上戦闘を通じてなら、スペース(ほぼマップのヘクスに等しい陸地)そのものの支配が無くても、そのスペース内の港・空港の支配は可能である」と書かれているのですよ…
地上戦闘[16.9.4]は、「地上戦で勝利したら敵は退却し、港と空港を支配する」と書かれています。地上戦はイベントが無いと生じないのです…となると、空挺降下[16.5.2]です。ここには「侵攻ターン、Air Invasionマーカーを置いて飛行場2箇所を占領することができる」とありますから、「飛行場占領ターン=侵攻ターン」となるのですね。
このゲーム、用語の定義など、こんな感じで紐解いて解釈を作っていくことがホント多いです。だから、ルールブックを眺めて思考をめぐらす時間が実に多い。

そんなわけで、ともあれ基地を変更できるのは最短で(侵攻が8pmなら)Day9pmとなるわけです。
しかし、ゲーム序盤でドイツ軍が即座に使える飛行場がAir Invasionマーカーを置く2個所しかないので、その点では空挺降下するのはクリスチャンサンでは無く、スタヴァンゲルですね。スタヴァンゲルに置くBf109は、ベルゲンもカバーできます。また、ここに置いたJu87は、イギリス-ノルウェー間の大半を航続距離内におさめるのです。ここまでのルール解釈が正しいのなら、戦略的にみて空挺降下はオスロとスタヴァンゲルだと言えます。

また、今回のプレイでも、艦隊編成担当参謀が欲しいと思いました。
当初計画(ドイツなら侵攻)が完了した後の、次の作戦(再編成と任務)の精度を高くできません。整理しきれず曖昧に出港させてしまった艦隊や、はたまた、偵察させてはいけない(偵察すると自分もダミーでないことが明らかになるので)ブロックで偵察してしまったこともありました。凡ミスが出てしまいました。

プロットマップは2倍に拡大コピーしたほうがよいでしょう。同じへクスをいくつもの艦隊が通るので、標準の大きさでは小さいです。プロット時点でわかりやすければ、当初任務完了後もイメージしやすくなるかもしれません。

BGGでは、かなり高得点がついています。ただ、「ルール多過ぎ」の意見もありました。
3軍共同であるヴェーザー演習を、陸海空軍すべて描き、しかも英軍の機雷敷設にはじまり、ドイツの侵攻に対してイギリスの上陸までも描いているゲームはなかなか見られません。それでいてシナリオならプレイ可能な時間におさまる(2日間くらいでしょうか…でも、キャンペーンは何日かかるのか)のですから、テーマをうまく切り出せたゲームだと思うのです。ただ、ルールライティングも含め、もっと「洗練」されていれば多くの人に勧めたいゲームなのですが。
作成した16.6.2項「Invasion」の手順フロー(一部)
作成中に論理的なフローにするのを諦めました…もとのライティング??

●最後に

1940年は極めて興味深い年だと思います。
英仏独すべてが、(良きにせよ悪しきにせよ)思惑通り、想定通りに行かなかった事象ばかりに感じます。まだ戦術やドクトリンが確立しておらず、より上位の政治や戦略レベルでも右往左往/希望的観測で動いてしまっていた時期なのかと思います。
当時の指導者たちが何を狙っていて、それを目指す策を選択するにも、どんな基準で選んだのか、にとても興味があります。

ところで、このゲームをプレイした月は、Britain Stands Alone(GMT)もプレイしました。
アドミラル・ヒッパー受難の月でした。
次は活躍できるゲームをプレイしなくては。
ケーニヒスベルク'45(Revolution)かEndkampf: Ostpreussen(CoSi)をプレイするのがよいのかな?